目 次
■工事のきっかけを伺いました
足立区本木北町のお客様より、雨漏りについてのご相談をいただきました。
軒先から雨漏りしているとのことです。
すぐに点検に伺い、調査したところ、谷樋部分の劣化による雨漏りであることがわかりましたので、谷樋の交換工事をご提案いたしました。
今回の工事の基本情報
施工内容:谷樋交換工事
施工期間:5日間
築年数:40年
■点検で雨漏り箇所を特定
点検時の屋根の状態を確認します。
屋根瓦には劣化もあまりなく、瓦のひび割れや欠けなどの損傷は見られませんでした。
耐水性も問題ないようです。
雨漏りの原因は、ほかの場所にあると考えられます。
雨漏りしやすい箇所でもある谷樋を、詳しく調査していきます。
お客様のお家の屋根は、谷樋が3箇所に設置されていました。
谷樋は、かなり劣化していました。
谷板金の腐食も見られます。
そして、谷樋と周辺の瓦の間に隙間には、雨水の侵入を防ぐ防水材が設置されていませんでした。
防水材は、大雨などで、雨水があふれ出るのを防ぐ役割がある大切な部材です。
昔は、防水材の設置はされていない屋根も多かったですが、
最近は、ゲリラ豪雨なども多いので、防水材の設置をすることが多いです。
大棟の谷樋の重なり部分の施工も、現在のものとはかなり違っています。
昔の施工は、緑のラインの屋根瓦まで伸ばしていましたが、現在では雨漏りの原因となるため、赤のラインまでの施工になります。
雨水が屋根のてっぺんから流れてくるとき、赤のラインに向って雨水が集中してしまうと、大棟の内部に雨水が入り込みやすくなってしまいます。
また赤のライン上の漆喰が、劣化し防水力が低下していたら、直接内部に雨水が入り込むことで土台が腐食し、雨漏りの原因になります。
今回は、3箇所の谷樋の交換工事をご提案いたしました。
■工事開始:大棟と周辺の瓦を取り外します
八の字の形状になる屋根の谷部分を、八谷(はちだに)といいます。
この八谷部分の谷樋を交換します。
まずは谷樋交換する際に干渉する、大棟を取り外します。
つづいて、谷樋周辺の瓦を取り外します。
谷樋を取り外してみると、防水紙が見えてきました。
防水紙は激しく劣化しており、穴が空いてしまっていました。
ここから、雨水が入り込んでいると思われます。
八谷のもう一方の谷樋も同様に、瓦を取り外し、谷樋の確認をします。
やはり劣化していました。
谷樋の腐食により、穴が空いてしまっていました。
谷樋撤去後の状態。
こちらの防水紙も劣化し、穴が空いていました。
使用されていた防水紙は、アスファルトフェルトでした。
フェルトにアスファルトを浸み込ませた防水材ですが、現在ではあまり使用されていません。
現在では、アスファルトフェルトより、高品質で防水性も高い、アスファルトルーフィングなどが使われます。
■あらたな防水紙・谷樋を取り付けます
あらたな防水紙を敷設している様子。
使用したのは、アスファルトルーフィングです。
アスファルトルーフィングは、板紙にアスファルトを浸み込ませた防水紙で、アスファルトフェルトよりも耐久性に優れています。
古い防水紙の上に、重ねて敷いていきます。
あらたな谷樋を取り付けている様子。
水密材も設置しました。
水密材は、オーバーフローを防止する部材です。
*オーバーフロー:大雨などで谷樋から雨水があふれ出ること。
一旦取り外していた、谷樋周辺の屋根瓦をもとに戻します。
■取り外した大棟と瓦をもとに戻します
一旦取り外していた、大棟も戻していきます。
大棟を取り付けている様子。
のし瓦を1段ずつ積んでいきます。
接着には、南蛮漆喰を使用しています。
■工事が完了しました
のし瓦の上に、冠瓦を取り付けます。
最後に、大棟と谷樋の重なり部分でもある、棟の切り落としの部分から雨水が入り込まないように、板金と隙間をコーキングボンドで埋める防水処理をおこないました。
八谷の他の3箇所も同じように施工し、すべての工事は完了です。
工事後の屋根の状態を撮影し、お客様に工事完了のご報告をいたしました。
「これで雨漏りの不安がなくなり、よかった。」
と、ご安心いただけました。
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「著者情報」
関裕一
東京都足立区出身 1級外壁・屋根調査士・ドローンパイロット
サンセイホーム(株式会社三誠ホームサービス) 最高技術責任者
18歳から塗装職人として2.250件以上の施工に携わる。
塗装業界の歪んだ構造を塗り替えるべく、奇跡の「新時代塗装」倶楽部を主催している。
お家を長く保つアドバイスを、分かりやすくお伝えします。
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