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「屋根」が外壁の寿命を決める?知っておくと便利な屋根にまつわる豆知識を紹介




日常の中で何気なく目にしている屋根。

例えば電車に乗っているとき、流れていく景色を見ていると様々なお家が目に飛び込んできますよね。他にもグーグルアースなどを使ってみると、世界中の建物を眺めることができます。


こうして見てみると屋根には様々な形があり、様々な材料で作られていることが分かるかと思います。

屋根にはその国や地域の気候に合わせたデザインがあり、雨や風から家を守る役割を持っているんです。

この記事では屋根にまつわる情報と、観光にも使える屋根の豆知識を紹介します!


ご自宅の屋根がどのような特徴があるのかを知っていると、屋根の修理やリフォームをする際にどこに気をつければ良いかが分かりますよ。

ぜひ最後まで目を通していただければ幸いです。


目 次



屋根の勾配に注目!

屋根の勾配が緩やか=雨漏りしやすい?

屋根の傾きの度合いである勾配と、屋根材には深い関係があります。

まずは屋根の勾配について知っておきましょう。

勾配がきつい屋根=雨漏りリスクが低減する!

勾配が急であるほど水切れがよくなるため、雨漏りのリスクは低くなります。


勾配がゆるやかな屋根=雨漏りの危険性が高まる!

勾配がゆるやかだと水が流れにくいので、雨漏りの危険性が高まります。


屋根材ごとに勾配が決まっている

それぞれの屋根材にはどこまで傾斜をつけて設置してよいかという許容値が細かく定められています。

例えば、急勾配の屋根に瓦を葺いたところを想像してみましょう。

瓦はかなり重い素材なので、少しの衝撃で外れて落ちてしまう恐れがあります。


つまり、勾配によってどの屋根材を使うべきか決められているということです。

勾配がゆるやかな場合には、雨漏りを防ぐために防水性が高い金属屋根を使用することが多くなります。

金属製の屋根材は防水性が高くて軽く、加工しやすいことから制約を受けることが少なく、万能に使われています。



軒天が外壁の寿命を決める!

軒天が広いと外壁が長持ちする

ほとんどのお家には、外壁から張り出している屋根部分があると思います。

この張り出している屋根を軒先(のきさき)と言いますが、内側の天井部分は軒天(のきてん)と呼ばれています。


軒天はお家のデザインによって広いものや狭いものなど様々ですが、屋根の形状や素材によってある程度広さが決まってきます。

実はこの軒天の広さは外壁の寿命との関係が深いんです。

軒天が広い=外壁を長持ちさせる

軒先が広いと、外壁の劣化の原因である紫外線や雨が壁に当たりにくくなります。


軒天が狭い=外壁の劣化が早まる

狭い場合は直接紫外線や雨が壁に当たってしまうため、外壁の劣化が早まります。


ただし、軒天が広いということは、それだけの負荷が建物にかかっているということです。

お家の耐震性を上げるために狭くする場合もあります。



屋根に合わせた雨樋をつける

雨水の流れ方と量は「屋根の形」によって変わる

切り妻屋根(2面で出来ている屋根)と寄棟屋根(4面で出来ている屋根)を想像してみましょう。

屋根の総面積が同じであるとするならば、より大きな雨樋が必要なのはどちらでしょうか?

その答えは切り妻屋根です。

図のように切り妻の場合は屋根が2方向に傾斜があり、寄棟は4方向の傾斜があります。

もし同じ水量の雨が降ってきた場合、


2方向へ流れる水量>4方向に流れる水量


となります。

つまり切妻屋根には寄棟屋根よりも排水性能の高い大きな雨樋が必要です。

同じ理由で片流れ屋根(1方向に傾斜がある屋根)の場合はさらに大きな雨樋を設置することになります。


屋根の形によって雨樋の大きさを変える必要があることはぜひ覚えておきましょう。



銅葺き屋根

銅葺き神社仏閣の屋根に多く使われ、耐用年数が長いことが特徴です。個人宅に用いられることもあります。

葺き上がりには赤金(あかがね)と呼ばれる銅本来の鮮やかな光沢があり、経年変化によって美しい緑青色に変化します。








茅葺き屋根

茅葺きの屋根は昭和中期までの農村でよく見られた屋根です。世界遺産の白川郷の合掌造りが代表的ですね。

材料によって藁葺(わらぶき)、草葺(くさぶき)と区別されます。

茅葺きは日本固有のものではなく世界中で見られる屋根材でもあります。







天然スレート屋根

天然スレートとは、何億年もの時間をかけて生まれた堆積岩の一種(粘板岩)を切り出したもの。

特にヨーロッパに多く見られ、日本では東京駅丸の内駅舎の屋根が知られています。

宮城県石巻市周辺は天然スレートの産地で、民家でも数多く使われていましたが、東日本大震災による津波で多くが流失してしまいました。






板葺き屋根

板葺屋根とは、木の板を屋根材として使用した屋根のこと。

板の厚みによって、杮葺(こけらぶき)、木賊葺(とくさぶき)、栩葺(とちぶき)等に分類されます。

厚い木片を互い違いに重ねた板葺き屋根は大和葺(やまとぶき)と呼ばれ、現在では法隆寺金堂の裳階だけに見られます。







檜皮葺屋根

檜皮葺(ひわだぶき)屋根とは、ヒノキの立ち木から剥がした皮を成型したもので葺いた屋根のことです。

檜皮はヒノキを伐採せずに採取できるので環境にやさしい屋根材として知られています。

出雲大社本殿や清水寺など、歴史のある神社仏閣に用いられています。








チタン瓦葺き屋根

比較的新しい屋根材としてチタン瓦があります。

歴史的建造物を改修する際に耐震性や安全性を高めるために採用されることがあり、浅草寺の宝蔵門と本堂が有名です。

ただし、歴史的建造物と建築技術の保存という観点から見ると、チタン瓦の使用には賛否があります。







3Dプリンタを使った未来の屋根

屋根材をスキャンして3Dプリンタで出力することで作られる屋根。

3Dプリンタの用途のひとつとして、歴史的・文化的建造物の保存があります。

歴史ある建物を未来に残すために歴史的建造物の建材をひとつひとつデータ化しておくことが、近い将来必要になるかもしれませんね。








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「著者情報」

 関裕一 

東京都足立区出身 1級外壁・屋根調査士・ドローンパイロット

​サンセイホーム(株式会社三誠ホームサービス) 最高技術責任者

18歳から塗装職人として2.250件以上の施工に携わる。

​塗装業界の歪んだ構造を塗り替えるべく、奇跡の「新時代塗装」倶楽部を主催している。

お家を長く保つアドバイスを、分かりやすくお伝えします。

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