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窯業系サイディングの外壁はコーキングの劣化に注意!早めの補修工事が住宅を守ります!




家の外壁に傷みや劣化した部分がないか、気にかけていますか?


外壁は、住宅を守る重要な部分です。

小さな傷や不具合を見落としてしまうと、大きな補修工事が必要になる場合もあるので注意しましょう。


現在主流になっている「窯業系サイディング」や「ALCパネル」の外壁は、ボードの繋ぎ目(目地)を埋めるために、上からコーキング材(シーリング材)を充填します。


年数が経つにつれてコーキングは少しずつ劣化するので、定期的にメンテナンスを行って、住宅の機能と資産価値を守りましょう!


今回は、窯業系サイディングを使った外壁のコーキング補修について、解説します。


目 次


コーキング(シーリング)は外壁に欠かせないもの!

外壁の目地に使われている充填剤は、コーキング材またはシーリング材と呼ばれます。


コーキング材の主な役目は次の2つ。

  • 水の侵入を防ぐ(防水)

  • 建物の揺れに合わせて、外壁材等の破損を防ぐ(緩衝)


外壁は常に雨風にさらされています。

目地から雨水が入ってしまうと、雨漏りを引き起こす原因になりかねません。


雨水の侵入を防ぐためにも、目地をしっかりコーキングすることが欠かせないのです。


特に、サイディングやALCの外壁は、等間隔に1~2cmの目地があるので、コーキング材を丁寧に充填します。


また、サッシなど異素材との取り合い部分にできる隙間を埋めることも、コーキング材の大事な役目です。



外壁に目地があるのはなぜ?

サイディングやALCの外壁は、ボードやパネルをいくつも組み合わせています。

そのため、ボードとボードの間に繋ぎ目(目地)が生じるのです。


外壁材を一枚の大きなボードにした場合、次の点で難しくなります。

  • 寒暖による伸縮

  • 運搬時の問題

  • 施工時の問題

寒暖差によってボードが伸縮した場合、ひずみが大きく、ヒビや亀裂が生じてしまいます。


一方、適度な大きさのボードを組んだ場合は繋ぎ目ができるため、温度変化による伸縮が制限されません。

また、運搬時や施工時のことを考えた場合、あまりにも大きすぎるボードでは、運搬しにくいのはもちろん、現場で組み立てる際にも作業がしにくいのです。


サイディングやALCの外壁に必ずできる目地。


目地に使われるコーキング材は、サイディングの伸縮や地震の揺れを吸収してくれる大事な部分なので、小さな傷みでも早めに対処しましょう。



目地や繋ぎ目がない外壁の場合(モルタル壁)


目地や繋ぎ目がないモルタル外壁の住宅も、よく見かけます。

モルタル外壁は、クラックと呼ばれるひび割れや亀裂が入りやすいというデメリットがあります。


クラックが発生したら、雨水が入り込むのを防ぐためにコーキング補修が必要です。

補修工事は、外壁塗装に支障が生じないように十分注意して行います。


コーキング材とシーリング材の違いは?


目地の充填剤は、コーキング材と呼ばれたり、シーリング材と呼ばれたりします。


呼び方は違いますが、外装塗装など住宅のメンテナンスに使う場合、同じ意味で使われています。


雨漏りや水漏れを防ぐために、目地に詰め物をして密封するための材料です。


目地にコーキング材を使って補修する時は、外壁に適した種類を選ぶことが重要。

外壁補修には、ポリウレタン(ウレタン)や変性シリコンが良く使われます。


ホームセンターで見かけるシリコン系やシリコンシーラントでは塗料がのらず、塗り重ねることができないので注意が必要です。



外壁の「縦目地」と「横目地」

(参照:ニチハ株式会社、設計施工資料PDFデータ、設計施工資料集:モエン標準施工編 2019年版)


外壁に使うサイディングは長方形。

サイディングの長辺を縦横どちらの向きに張るかによって、目地のでき方が違います。


縦張りは、サイディングの長辺を縦向きにする張り方で、目地は横向き(横目地)になります。

横張りはサイディングの長辺を横向きにするので、目地は縦向き(縦目地)です。


金属サイディングには縦張りが多くみられ、シーリング箇所が少ない場合や、目地を設けてない外壁材もあります。


一方、窯業系サイディングには横張りが多く、いろいろな種類の製品があります。


サイディングに比べると、ALCパネルは小さく厚いのが特徴で、縦横どちらの向きにもシーリングが施されています。


そのため、ALCはシーリングの施工範囲が多くなります。



目地がない住宅でもサッシ廻りにはシーリング材が使われているため、劣化の程度によって補修工事が必要になります。



シーリングは傷みやすい

目地のシーリング材の経年劣化は避けられません。

早ければ3年前後、長持ちしても7年程で劣化してしまう場合があります。


中には、外壁塗装より先にシーリングの打ち替えが必要になったケースも。

たとえ一部分のシーリング補修であっても、綺麗な仕上がりと安全な工事のためには、足場の仮設は必要です。


できれば外壁塗装とシーリング補修工事をセットで行うことをおすすめします。



外壁塗装と同時にシーリング補修をすると、足場の仮設が一度で済むので、費用を抑えることができます。


横目地の場合、目地に沿って雨水が伝わります。


傷んでいるのは一部分でも、目地の両端まで補修しなければ、さらに傷みが進んでしまう可能性があるので全体的に補修する必要があります。


縦目地の場合は、雨水が上部から流れ落ちてきます。

そのため、目地の一部分だけにシーリング補修を施しても、目地の上下部分で劣化が進めば雨水が侵入してしまう可能性も。


縦目地の補修の際も、全体的に補修することが大切です。


目地が1本劣化しているなら、他の目地も傷んでいるかもしれません。

家の資産価値を守るためにも、早めに全体をチェックしてみましょう。



シーリング材が劣化する原因

シーリング材は、紫外線、雨、温度差が原因で劣化します。


劣化が進むと表面に可塑剤が染み出してくるので、ベタベタし始めだんだん汚れがひどくなります。

外壁に黒ズミとして染みつくので、美観を損ねてしまうことも。


可塑剤は、シーリング材やゴム製品を柔らかくするために使われる薬剤ですが、劣化すると添加された製品から分離してしまうのです。



身近な例をあげると、輪ゴムが劣化してベタベタすることがあります。


これも、輪ゴムに入っていた可塑剤が表面に染み出したために起こる現象です。


可塑剤が染み出した輪ゴムは、次第に伸縮性を失い、簡単に切れてしまいます。


外壁のシーリング材も、輪ゴムと同様に劣化が進むとひび割れや亀裂が生じてしまうのです。


自己流のシーリング補修は難しい

外壁の目地にシーリング材を充填するだけなら簡単と感じるかもしれません。


しかし、メンテナンスを自己流で行うことは避け、プロに任せることをおすすめします。


なぜなら、きちんと養生をして補修工事を行うのは難しい作業だからです。


目地の部分以外にシーリングがつかないように、目地に沿ってマスキングテープを貼り付けますが、外壁の凹凸に合わせてまっすぐ綺麗に貼りめぐらす作業は、プロでも神経を使います。


マスキングテープを剝がす際にも細心の注意を怠ると、外壁を汚してしまう恐れもあるのです。



シーリング補修工事の種類



シーリング補修工事の種類には、「打ち替え」と「増し打ち」があります。


打ち替えと増し打ち


打ち替えとは、古いシーリング材を全部取り除いた後に、新しいシーリング材を充填する方法です。



増し打ちは、古いシーリング材の上に新しいシーリング材を重ねます。



打ち替えが理想ですが、補修箇所によっては増し打ちを行う方が良い場合もあります。


例えば、窓枠やサッシ廻りなどです。

古いシーリング材を取り除くのが難しい箇所では、増し打ちを推奨しています。


無理に打ち替えをしようとすると、窓枠やサッシに傷をつけてしまう可能性があり、雨漏りの原因を作るのを避けるためです。


外壁の目地の補修には、打ち替えを行います。


目地のシーリング材にひび割れや亀裂が生じている場合、その上からいくら新しいシーリング材を重ねてもすぐ剥がれてしまい全然シーリングの役目を果たしません。


外壁の目地は、劣化したすべてのシーリング材を撤去して、新にシーリング材を充填していきます。


外壁塗装とシーリング補修工事を同時に行う場合

外壁塗装とシーリング補修工事を同時に行う場合は、「先打ち」と「後打ち」いずれかの工程になります。


それぞれにメリットとデメリットがあるので、施工業者としっかり打ち合わせをした上で行いましょう。


オートンイクシードなど、寿命の長いシーリング材を使うと効果的です。



サイディングの繋ぎ目部分について

サイディングの繋ぎ目は、寒暖による伸縮や、揺れが原因で亀裂が入るのを防ぐ役目をもっています。


動くことを前提に作られた繋ぎ目は、ワーキングジョイントと呼ばれ、ひび割れを起こさないように2か所で接着(2面接着)しています。

つまり、背面を接着させないことで、伸縮を制限しないようにしているのです。


一方、動かないことを前提にしたノンワーキングジョイントは、しっかり接着される3面接着になっています。


このような違いを理解し、細部まで注意を払う必要があるので、自己流で補修せず信頼できるプロの業者に依頼しましょう。




まず、外壁の目地にひび割れや亀裂が入った部分がないか、丁寧に目視点検を行います。


窯業系サイディングの外壁は、ボードの繋ぎ目に充填されたシーリング材が古くなると、可塑剤が染み出してベタベタしてきます。


その上から埃が付着すると、汚れて黒ズミができることも。


次は、劣化して某生成を失ったシーリング材を取り除く作業を行います。


カッターで慎重に切り込みを入れて、古くなったシーリング材を引っ張り出します。

もともとあったシーリング材が残っていると、新しく充填するシーリング材が上手く接着しないので、丁寧に作業することが重要です。


シーリング材を充填する前に、サイディングとシーリング材の接着力を高めるためにプライマーを塗布。


窯業系サイディングの繋ぎ目はワーキングジョイントなので、2面接着になるように刷毛で丁寧に塗っていきます。


プライマーを塗布したら、シーリング材が底面に付着しないためのバックアップ材を入れ、サイディングの繋ぎ目にシーリング材を充填していきます。


シーリング材を充填したら、専用のヘラを使って押しこむように均していきます。


ある程度シーリング材が固まってきたら、養生テープを剥がします。

シーリング材が完全に固まってしまうと、養生テープがきれいに剝がせなくなるので注意が必要です。



シーリング材が固まると、補修工事は完了です。


シーリングの打ち替えを行うと、住宅の機能と美観を維持することができ、資産価値を守ることにつながります。


まとめ


窯業系サイディングのシーリング補修工事についてお伝えしてきました。


外壁の目地に使われているシーリング材は、経年劣化を避けられないので、ひびや亀裂がみつかったら早めの対処が肝心です。


少しでも気になる部分が見つかった時は、ぜひご相談ください。



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「著者情報」

 関裕一 

東京都足立区出身 1級外壁・屋根調査士・ドローンパイロット

​サンセイホーム(株式会社三誠ホームサービス) 最高技術責任者

18歳から塗装職人として2.250件以上の施工に携わる。

​塗装業界の歪んだ構造を塗り替えるべく、奇跡の「新時代塗装」倶楽部を主催している。

お家を長く保つアドバイスを、分かりやすくお伝えします。

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