外壁塗装を考えている方は、どういった色を希望しますか?
今回は、中でもご要望が多い色褪せしにくい色について書いていきたいと思います。
目 次
これまでに古びて見えたり、年季が入っているように見えるというお家や建物を見たことはあると思いますが、どういったパターンが考えられると思いますか?
よくあるパターンとして雑草が建物の周りやお庭に生い茂っている事が挙げられます。
雑草が生い茂ってしまうと景観が損なわれるのは勿論ですが、手入れがされていない=誰も住んでいないと思われてしまう為、防犯上でも問題が起こってきます。
ただ、私たちの専門は外壁塗装なので今回は雑草についての詳しい説明は省かせて頂きますが、建物にとっても良くはありませんので気をつけましょう。
次の例として、建物全体の汚れです。この中には、塀や門など外構も含みます。
これらの汚れは、清掃する事である程度は落とす事ができます。ただ、年季が経つと汚れも落ちにくくなりますので、その分古さや使用感が出てしまいます。
建物の汚れはある程度落とす事ができても、古さを感じさせてしまう塀や門、建物の色褪せは清掃しても取り除くことはできません。
建物は、車などとはまた違い色褪せの部分を削り落とすという事は一般的ではないので、建物外壁などの色褪せはどうしても避けられないものなのです。
色褪せが起こる原因
私達の周りでは、色褪せは外壁塗装だけではなく様々なものに起こっています。
例えば、お部屋のカーテンや衣服などどうでしょうか?月日が経つと色が褪せてきたりしますよね。他にも車なども新車当時はピカピカでも年季が経つにつれて少しずつ変化していきます。またなかなか気付くことはないと思いますが、釉薬瓦も色落ちします。
色褪せには何種類かの呼び名があり、「褪色」また、「色が褪(さ)める」とも言います。
技術が進歩し、昔と比べると外壁塗装や、車、衣服など様々なものが色褪せをしにくくなってきました、が!どうしても自然の力には勝てず色褪せは避けられません。
最も影響が大きいものは、太陽光です。そしてその中でも一番の原因は、紫外線です。
また太陽光や紫外線による熱エネルギーの他にも、風雨による物理的影響や酸性雨も色褪せの原因になります。
2つの色褪せの主な原因
(1)顔料の色素の結合が切断されてしまう
同じ元素、違う元素、世の中の全てのものは様々な元素がありますが、その原子同士が結びつき、物質の構成をしています。 塗料の色の元は顔料です。こちらも原子同士の結合で構成されています。
原子同士の結びつきの強さを結合エネルギーによって示します。
この結合エネルギーを、超えるエネルギーを受けてしまうと壊されてしまいます。
(例)窒素元素「N」は窒素元素同士の結合が弱い為、切断されやすい傾向があります。 単純に窒素が弱いというわけではありません。あくまでも窒素元素同士の結合が弱いだけです。
代わりに銅「Cu」を中心とした結合の場合はとても結合エネルギーが高い為、切断されにくいです。
太陽光の紫外線によって、色素の結合の切断は主に起こります。
(2)化学変化を起こして、他の物質変わってしまう
化学変化でみなさんの身近にあるといえば、酸化だと思います。
鉄が赤(赤錆)や黒(黒錆)へと変わっていってるのを見た事があるともいます。
あの鉄の錆が鉄の酸化です。鉄は酸化鉄という物質に変え、色を変えていきます。
鉄は、酸化鉄になると赤や黒へと変わりますが、銅は酸化銅になると緑青という色へと変わります。
違った色に変化はしますが、化学変化によって色が変化するのでこれは当然のことのようです。
化学変化は酸素や水、熱によっても促進されます。
日光による熱も化学変化を一部、促進させてます。
コート材などを塗布することにより、色褪せの進行を遅くする事はできますが、上記でもお伝えした通り、太陽光による色素の切断、化学変化は避けることは絶対にできないのです。
色褪せをしてしまう事は残念ながら避けられないので、色褪せしやすい色、色褪せしにくい色をしっかりと把握し、色褪せしにくい色を選ぶのはいかがでしょうか?
色褪せしにくい色を把握しておくことにより、外壁塗装は勿論、普段生活していく中での衣服選びや身近なものを選ぶときに役立つと思うのでぜひ最後までご覧ください。
1位 赤
赤色を出す顔料は数種類ありますが、耐光性は高くないです。
赤色というと、東京タワーを思い出しませんか?
東京タワーの紅白模様の赤(正式名称はインターナショナルオレンジ、)実は、5年に一回程度の塗り替えが行われています。
2位 黄
黄色は色褪せが最も早く起こると言われている色の一つです。
赤色と同様、どの顔料でも窒素元素同士の結合部分が多く、そこが紫外線によって切断されるので他の色よりも色褪せが早いのです。
しかし、不思議な事に同系統の色である黄土色は色褪せしにくいのです。
3位 紫
紫といっても、赤みの強い紫、青みの強い紫がありますが、赤みの多い紫の方が色褪せの進行が早いです。
自動車業界では赤色の次に色褪せがしやすいと言われています。
しかし人によっては、紫と青の判断基準が曖昧なので3位にしました。
これらの原色は商業施設でもない限り、景観条例の規制の対象にもなりえるので外壁塗装をする人はあまりいないと思います。
黄土色で外壁塗装する方は結構多く選ばれやすいです。「黄色は色褪せしやすいって」と思っていた方は、安心してくださいね。
1位 白
汚れは目立ちやすいという弱点はありますが、白色の顔料として使われる酸化チタンは無機顔料なので、結合を切断されにくく化学変化が起こりにくので色褪せがしにくいです。
2位 黒
顔料の原料であるカーボンブラックは非常に強固な炭素結合なので、光に分解されないという性質があります。
しかし白色同様、汚れが目立ちやすいという弱点があるのと、ピアノブラックなどの艶有りでは光沢も大事なので、艶がなくなってしまう事により一気に色褪せたように見えてしまうのが短所です。
3位 青
青色は、元素同士の結合が耐光性に優れており、色褪せしにくいのが特徴です。
近年のIT企業のコーポレートカラーに多用されている色の一つで、多用されている理由は青色の持つイメージが「知的」ということです。
これで色褪せしにくい色が分かりました。
しかし、色褪せしにくい色1位白、2位黒の短所として「汚れやすい」という共通点があるほか、白色に関しては、「ある理由から長寿命ともいえない」。黒色に関しては「光沢も大事なので艶がなくなってしまうと一気に色褪せたように見える」という事もあります。
外壁塗装の色褪せは色素の結合力だけでは決めるのは危険です!
顔料(色素)とセットになっている塗膜(樹脂膜)アクリル、ウレタン、シリコン、フッ素などのことも考えて決めることが大事なのです!
(汚れやすい以外)で白色が外壁塗装に向かない理由
①顔料に使われている酸化チタンが塗膜を破壊する。
酸化チタン自体は無機で変質しません。しかし触媒としての性質を持っっているので、光に当たる事により塗膜を破壊するラジカルを発生してしまいます。
この触媒としての性質をうまく利用し光触媒塗料で、こちらは汚れを分解します。
破壊されていないツルツルの塗膜、ラジカルで破壊されたザラザラの塗膜、どちらが色褪せしにくいかは一目瞭然だと思います。
最近では、このラジカルを発生させないようラジカル制御型の塗料も流通しています。 この酸化チタン、白色の塗料のみに含まれているわけではありません。
発色性を良くしたり、色褪せを抑えるために他の色にも含まれています。
白色のみに塗膜の破壊されるということではありません。
(汚れやすい以外)黒色が外壁塗装に向かない理由 ①艶なしのマットな仕上がりがお好みなら問題ないのですが、高級感が溢れる黒色というと光沢や艶がセットになります。
艶は黒色の色素と別物で、カーンボンブラックは温度が上がりやすいです。
黒色の顔料の耐光性は高いのですが、光沢と艶の顔料は耐久性があまりありません。 なので、黒色の顔料自体は変化しなくても、艶がなくなってくると色褪せて見えます。 また、黒色は熱を吸収することは多くの方が知っていると思いますが、カーボンブラックは熱の元となる赤外線を吸収しやすく温度の上昇も他の色より高いです。 温度が上がる事により化学変化が早く起こるので、色褪せや塗膜の劣化も進んでしまいます。
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「著者情報」
関裕一
東京都足立区出身 1級外壁・屋根調査士・ドローンパイロット
サンセイホーム(株式会社三誠ホームサービス) 最高技術責任者
18歳から塗装職人として2.250件以上の施工に携わる。
塗装業界の歪んだ構造を塗り替えるべく、奇跡の「新時代塗装」倶楽部を主催している。
お家を長く保つアドバイスを、分かりやすくお伝えします。
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