目 次
■工事のきっかけを伺いました
足立区大谷田のお客様より、屋根の点検のご依頼をいただきました。
きっかけは、庭に屋根の破片のようなものが落ちているのを見つけたことだそうです。
もし屋根の破片が落下しているとなると、屋根が損傷している可能性があります。
お客様がご自身で落下物を確認したところ、化粧スレートではないかとのことでした。
早速点検に伺い、まずは落ちていた破片を見たところ、やはり化粧スレートの一部分でした。
お客様からのお家から落下したものかどうかはまだわかりませんので、屋根の上って屋根の状態を詳しく調べる必要があります。
点検したところ、屋根材に損傷している部分があり、落ちていた化粧スレートと同様の素材であることが確認できました。
複数のクラックやコケが発生している箇所もあり、屋根全体が劣化していました。
また、お客様のお家の屋根では、天窓(トップライト)が設置されていました。
空からの明るい陽射しが差し込み採光性に優れ、開放感のある天窓。
ですが天窓というのは、屋根に穴を開けて取り付けていますので、どうしても雨漏りの原因になりやすいというデメリットがあり、定期的なメンテナンスが必要です。
今回の点検で、天窓の状態も詳しく調べたところ、やはりパッキンがかなり劣化していました。
これではいつ雨漏りが起きても、不思議ではありません。
室内から天窓周辺の確認をしたところ、やはり天井に雨染みがありました。
お客様からは天窓は撤去してほしいとのご要望を受けましたので、今回は屋根カバー工法と天窓の撤去工事も同時におこないます。
今回の工事の基本情報
施工内容:屋根カバー工法・天窓撤去工事
使用材料:スーパーガルテクト
築年数:13年
施工期間:4日間
■屋根の状態と天窓の点検をおこないます
画像のように急傾斜で、6寸勾配の屋根です。
点検・工事の際にも、いつも以上に慎重におこなわなければなりません。
屋根の状態はクラックやコケの発生が見られ、かなり劣化していることがわかります。
新築の時には緑色の屋根だったそうですが、コケやカビの発生で黄色く変色してしまっています。
スレート屋根は塗装メンテナンスをおこなうことによって、防水効果が得られます。
塗装メンテナンスにより、汚れや紫外線からも屋根を守ってくれます。
しかし塗装面は、時間が経過すると劣化するものです。
塗装面が劣化すると防水性が失われ、屋根の損傷につながります。
スレート屋根の塗装メンテナンスは8~10年ですので、それ以上経過している場合は塗装メンテナンスだけでは屋根の劣化を抑えられません。
塗装では劣化した屋根の修繕ができない場合、屋根カバー工事か屋根葺き替え工事となります。
お客様のお家は、コロニアルネオというスレート屋根材です。
この屋根材は、クラックなどの不具合が発生しやすい屋根材として知られています。
10年ほど経過すると激しく劣化してしまうので塗装メンテナンスではなく、屋根カバー工事か屋根葺き替え工事が必要です。
お客様が発見した屋根材の破片を、実際に屋根の破損部分と照合してみました。
屋根材の色味や形状が一致しているのがわかります。
屋根材が損傷し、穴が空いているということは、雨水がそのままルーフィング、下地に流れ込んでしまいます。
ルーフィングは防水紙のことで、雨水から建物を守る大切な役割があります。
ルーフィングに直接雨水が流れ込むことでルーフィングが劣化し、雨漏りの発生につながってしまいます。
天窓の点検の様子。
さきほどもお話ししましたが、天窓は雨漏りの発生しやすい箇所なので、しっかりとていねいに調査していきます。
全体的に劣化していますが、とくにガラス部分には割れを確認しました。
天窓の外枠とガラスの隙間部分のパッキン・コーキングの様子。
コーキングが途中で切れていました。
カッターを差し込んでみると、容易に刃が入ってしまいます。
コーキングの役割を果たしていないので、雨水が入り込む可能性があります。
コーキングは、建物の隙間を埋めるもので、防水性を高め、雨漏りから建物を守ります。
建材を固定する接着材としての役割もあります。
天窓の設置部分を室内から確認すると、天井クロスに雨染みができていました。
そのままにしておけばどんどん雨漏りがひどくなってしまいます。
■工事開始:屋根の一部と天窓を撤去し、天窓跡を塞ぎます
屋根工事に入ります。
今回は屋根カバー工法という工事をおこないます。
屋根カバー工法とは?
今ある屋根をそのままに、その上から新しい屋根材を重ねる工法です。
古い屋根材を撤去する手間や費用がかからず、屋根葺き替えよりコストを抑えることができます。
また屋根が2重になることで、防音性や遮熱性がアップするというメリットも魅力です。
まずは、天窓の撤去です。
天窓周囲の屋根材を剥がします。
屋根材を剥がすと、緑色のルーフィングが確認できますね。
水切りなど板金も取り外し、ていねいに天窓を外します。
天窓の撤去という難しい作業は、ベテランスタッフの卓越した技術が必須です。
天窓の撤去跡の穴を塞いでいきます。
構造用合板で固定します。
防水加工を施し、スレートを差し込みます。
■ルーフィングを敷きます
いよいよ屋根カバー工事です。
いまある屋根材の上にルーフィングを敷きます。
雨水が入り込まないように、10センチほどの重ね幅をとりながら、下から上へと敷いていきます。
使用したのは、田島ルーフィングの「タディスセルフ」です。
ルーフィングは元の屋根材に釘で固定しますが、今回の屋根材はクラックが発生しており損傷しやすいので、粘着性のあるルーフィングで接着する方法をとっています。
■スーパーガルテクトで屋根カバー工法工事
屋根材を取り付けていきます。
使用したのは、アイジー工業の「スーパーガルテクト」です。(カラー:Sシェイドブルー)
遮熱性・断熱性に優れた効果を発揮します。
軽量なのも特徴で、屋根材を重ねるカバー工法にも適している屋根材です。
特殊なちぢみ塗装により、高級感のある仕上がりが叶います。
こちらの屋根材は、塗膜15年・赤さび20年・穴あき25年のメーカー保証が付いているのもうれしいですね。
1列目から、軒先へ引っかけるように取り付けます。
雪止め金具を2列目と3列目に設置しています。
雪止め金具は雪の降らない地域ではあまり見かけないかもしれませんが、降り積もった雪が屋根から落ちてくるのを防ぐ大切な役割があります。
落雪による事故からも守ることができます。
こちらの屋根は、一部が突き出ている形状になっていました。
ですので、片流れの棟を設置し、ケラバを取り付けました。
画像は、屋根の上で役物納めの板金を加工している様子です。
■工事が完了しました
天窓の撤去・屋根カバー工事がすべて完了しました。
お客様からも「まるで新築のようにきれいになりましたね。」とたいへん満足いただけました。
画像は、ドローンで工事完了後の屋根の様子を撮影したものです。
屋根のように、実際に工事後の状態を確認することができないと不安ですよね。
そのような場合には、ドローン撮影をおこない、お客様に仕上がりの様子をご報告することもできます。
アフターメンテナンスでもドローンを使用し、屋根の様子をご確認いただけますので、ご安心くださいませ。
ご要望の際はスタッフにお伝えくださいね。
天窓や雨樋などの雨漏り修理、屋根全体のカバー工法や葺き替えまで、屋根の事ならどんなことでも屋根プロ110番の雨漏り駆けつけ隊におまかせください。
お客様のお家に最適の工事をご提案いたしますので、お困りのことやわからないことなど、お気軽にお問い合わせくださいませ。
必見!プロが教える外壁塗装の見積書の見方と選び方!
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「著者情報」
関裕一
東京都足立区出身 1級外壁・屋根調査士・ドローンパイロット
サンセイホーム(株式会社三誠ホームサービス) 最高技術責任者
18歳から塗装職人として2.250件以上の施工に携わる。
塗装業界の歪んだ構造を塗り替えるべく、奇跡の「新時代塗装」倶楽部を主催している。
お家を長く保つアドバイスを、分かりやすくお伝えします。
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