

「外壁塗装をしよう!」
そう決めたときに、一番最初に行うことが見積もりです。
「どんな工事が必要になるの?」
「金額はいくらぐらいするの?」
ずっとお付き合いのある信頼できる工務店さんがあって、絶対そこで依頼する、という場合でもなければ、
複数の業者に見積もりを依頼して比較する「相見積もり」は必須です。
外壁塗装工事は最低でも数十万円から、時には二百万円を超える大きな工事です。
相見積もりをとることで、支払い金額の高さだけでなく、業者の技術の品質、対応の良しあしなどを比較できます。
しかし相見積もりをとっても、どこのポイントに注目すべきなのかが分からないと、一つの会社に絞り切れませんよね。
そこで、本記事では相見積もりに関し
・いくつの会社で相見積もりをとればいいのか
・業者を見極めるポイント
・発注する一社を決めるコツ
をご説明します。
1.相見積もりは3~4社からとろう

相見積もりをとる適切な数は、3~4社です。
3~4社からの見積もりを聞けば、ご自宅の外壁塗装工事の相場金額、工事内容を把握することができます。
見積もりを取る会社が多ければ多いほどいいというものでもありません。
見積もりに立ち会うために時間も拘束されますし、
たくさんの見積書があっても、会社ごとの違いがほぼなかったり、逆に重要ではない細かな違いが気になってしまったりして、決断しにくくなってしまいます。
見積もりは3~4社からとって、内容や対応を比較するようにしましょう。
2.相見積もりを依頼するときの2つのコツ
3~4社で見積もりをとれば、それだけで偏りにくくなります。
しかしせっかくなら、さらによい見積もりをとるために、気を付けていただきたいポイントが2つあります。
・見積もり依頼をする業者の決め方
・相見積もりでは同じ条件・要望を伝える
それぞれくわしく説明していきます。
2-1 見積もり依頼をする業者の決め方

インターネットで探せば、たくさんの業者が見つかります。
その中から見積もりを依頼する3~4社を選ぶ際には、次の3つが揃った業者にしましょう。
・自社の職人で施工
・リフォーム瑕疵保険の登録事業者
・会社が自宅から近い
その理由をご説明します。
■自社の職人で施工
外壁塗装を自社の職人で施工しないということは、そこの会社に依頼した場合、実際に作業をするのは下請けなどの他社になります。
そうなると支払金額には、見積書にはそう書かれていませんが、中間マージンが発生して割高になります。
例えば、ハウスメーカー、ホームセンター、量販店などでは、自社で職人を抱えているわけではなく、契約している下請け業者が施工することになります。
自社職人を抱えているところは、HPにスタッフ紹介をしていることが多いので、チェックしましょう。
また自社で職人を抱えている工務店であっても、専門は内装で自社で施工するのは内装だけ、外壁塗装は他社へ発注、という場合もあります。必ず外壁塗装を自社職人で施工している、という点を確認してくださいね。
■リフォーム瑕疵保険の登録事業者
リフォーム瑕疵保険とは、加入している施工店の工事で不備が見つかった場合、保険金を使って補修できる制度です。
実際にこの保険を使用するためには、工事費と別途で3~5万円の保険料が必要になってしまいます。
ですので、この保険を利用するかどうかはまた別の話となりますが、
大事なのはリフォーム瑕疵保険の登録事業者であるということは、その業者のサービスの品質が一定以上であると見なせることです。
不備やトラブルが多い業者ですと、この保険に加入することができません。
加入しているかどうかは、業者のHPやパンフレットの記載を確認するか、あるいは下記のリンクから確認ができます。
■会社が自宅から近い
自宅から遠くない会社で見積もり依頼をしましょう。
例えば検索するときに 「 足立区 外壁塗装 」 といった感じに、地名を入れて検索すれば、ご近所の業者が見つかりやすいでしょう。
目安としては、その業者の会社や支店が、車で30分以内にあることが望ましいです。
工事の後で何かあったとき。あるいは地震や台風などが来て、点検してほしいとき。
遠くの業者ですと、あなたの家まで来るのに、予定が空いている日でないといけません。
工事の予定がたてこんでいて、見に行けるのは1週間後、2週間後、という場合もあり得るでしょう。
しかし近くの業者なら、現場の行き帰りのついでや、予定の空き時間などに、すぐに見に来てもらえたりして安心です。
2-2 相見積もりでは同じ条件・要望を伝える

相見積もりの場合、条件や要望を、全業者に同じように伝えましょう。
条件や要望がバラバラですと、業者が作成する見積もりの内容にも差が出来てしまい、比較になりません。
特に価格が大きく変わってくる、塗料の種類と施工範囲は、必ず伝えましょう。
「何を要望すればいいのか分からない」
ということであれば、次の表を参考にしてみてください。
【条件・要望例】

具体的に伝えることで、どこの会社からも希望に沿った工事内容の見積もりをもらうことができ、比較検討が容易になります。
3.どこの業者に頼む? 見極めポイント7つ
相見積もりの見積書が揃った後は、その中のどこにお願いするのかを見極めなければなりません。
見積もりの点検時の様子、見積書の内容など、どこに注目すればよいのか、7つの注目ポイントをお教えします。
3-1 見積もりの点検時に60分程度の時間をかけてくれるか
見積点検に60分程度以上かけてくれる業者を選びましょう。
業者によっては、10~20分でお家の大きさだけ測って終了、というところもあります。
しかしその程度の点検では、外壁や目地のどこにどれくらいの劣化が出ているのか、詳しくチェックしていない場合があります。
いざ工事が始まってから、
「劣化の激しいところが見つかったので補修に追加費用がかかります」
などと、後出しで費用を増やされていくのも嫌ですよね。
痛んでいる個所を写真に撮って見せてくれたり、説明を嫌がらずにしてくれる業者ですと、安心できると思います。
3-2 見積書に施工する数量が記載されているか

受け取った見積書は明細を確認し、施工する数量がきちんと記載されているか確認しましょう。
■良い見積書の例

このように、工事内容、各内容の数量と単価の数字が明記されているのが理想です。
「一式」と書かれている場合、どこまでやってもらえるのか、価格が適正なのか判断がつきません。
(廃棄物処理や運搬費が一式になっているのは、工事前に量が分かるものでもないので問題ありません。施工面積に関わる部分にご注意ください。)
数量と単価が明記されていれば、他社からもらった見積書と比較したときに、違いがよく分かります。
口頭で「プロですから、もちろんキッチリやりますよ」と言われたとしても、見積書に明記されていなければ、後々「言った」「言わない」のトラブルに発展しかねません。
満足いく補修工事を行うために、また後々のトラブルを防ぐために、工事内容の明細・数量・単価を見積書に明記してくれる業者を選びましょう。
3-3 説明を丁寧にしてくれるか

見積もりの内容や、こちらからの質問に対して、面倒くさがらず、分かりやすく説明してくれる業者を選びましょう。
塗装工事は大きな工事です。
業者の提案に納得ができていなかったり、理解できない不安を抱えたままで工事を行ってしまえば、工事の後になって不満やトラブルが発生してくる恐れがあります。
ただ単に工事の契約の成立だけを考えるのでなく、真に依頼主の要望を実現しようと考えている業者ならば、考えの行き違いを防ぐために、説明をきちんと行ってくれるものです。
3-4 職人の研修、教育体制が整っているか
職人の教育体制が整っている業者を選びましょう。
研修にも様々あり、日々新しいものが開発されていく建材・塗料などの知識を学ぶ研修や、技術を向上させる研修、またマナー研修なんてものもあります。
「知識や技術はともかく、マナー?」
と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、
マナーがしっかりしていれば、直接のやり取りも気持ちよく交わせますし、工事期間中にはどうしても騒音やゴミ、道路への駐車、敷地の境界に足場を架設など、ご近所への影響も出てしまうものですが、ご近所トラブルに発展するリスクも下がることでしょう。
教育体制が整っているということは、見積もり時に会った担当だけでなく、作業をしてくれる一人一人の職人の知識や技術、マナーにも一定レベル以上であると信頼が置けます。
またそこの会社が利益だけでなく、サービスの質や、従業員、ひいては客を大事にしていると分かる目安となります。
3-5 理由もはっきりしない大幅値引きを言ってこないか

もっともらしい理由をつけて大幅値引きをしてくる業者は、避けましょう。
大幅に値引きができるということは、そもそも値引き前の金額が高すぎるのです。
値引き前の見積書の明細部分に書かれている単価があてにできず、他社とも比較しきれません。
あるいは、値引きの代わりに人件費を切り詰めていて、その結果として工事が手抜きになってしまう可能性もあります。
外壁塗装工事で50万円以上の値引きを提案してくる場合は、気をつけてください。
3-6 即決を迫ってこない

点検・見積書を提出したその場で 「今日決めてください!」 と迫ってくる業者は避けましょう。
無料見積をうたっていても、「営業所からわざわざやってきて、少なくない時間をかけて現場を点検し、見積書を作成し、説明を行った。その見返りが欲しい」 「相見積もりの結果、他社に仕事をとられたくない」 と、業者が思う気持ちは分かります。
しかし外壁塗装工事は高額な工事です。
それを十分検討させず、即決させようとするのは、客の立場よりも自社の立場を優先させた対応です。
知らない間にその他の場面でも、客の都合より自社の都合を優先させるのでは? と疑いたくもなります。
発注するにしろ、しないにしろ、結果を伝えるのにお互いに納得できる期限を設けて待ってくれる公平な業者から選びたいものです。
3-7 アフターフォローがある
塗装工事後のアフターフォローがある業者を選びましょう。
というのも、「家」は外壁塗装などの大きい工事だけでなく、必要になったときに小さな補修を小まめに行うことで、長持ちさせられるからです。
例えば台風が来た時、地震があった時などに、すぐ点検に来てくれたり、補修を行ってくれる業者だと安心できます。
塗装後も長く付き合いたいと思える会社を選びましょう。
4.発注する一社を決めるコツ
「3章を参考に絞り込んだけれど、一社に絞り切れない……」
そんなときに最終的に一社に決めるコツを3つご紹介します。
・家族の意見を聞く
・金額だけに捉われない
・ライフプランと合致しているか考える
4-1 家族に相談する

業者選びで迷ったときには、ご家族に相談しましょう。
自分の考えを伝えることで、それまでにはっきりと意識していなかった気持ちに気づいたり、別の視点からの意見を聞くことで新しい気づき得られることがあります。
「家」 は家族で過ごす場所です。
一人で決めず、ぜひご家族と話し合ってから最終結論を出すようにしてください。
4-2 金額だけに捉われない

一番安いから、という理由で決めてしまうのは、おすすめできません。
必ずしも 「安かろう、悪かろう」 とは言いませんが、
安いには安いなりの理由があるはずです。
工程や内容に抜けや漏れがあれば、後々雨漏りなどのトラブルになったり、追加工事(と料金)が発生してしまいます。
高額の工事だからこそ、めったに行わない工事だからこそ、満足できる内容・品質かどうかで選ぶようにしてください。
4-3 ライフプランと合致しているか考える

「家」という建物のことだけでなく「あなたとあなたのご家族の将来・ライフプランと合致した工事内容かどうか」という観点から考えてみるのもおすすめです。
外壁塗装は一度きりの工事ではありません。
使う塗料などによっても変わってきますが、およそ10年ごとくらいに必要になります。
「次回の工事のタイミングを、子どもの進学費用の支払いと重ならないようにしたい」
ということであれば、塗料の耐用年数で調整できますし、
「近々子どもたちが自立したら、家を手放して夫婦でマンションに住むつもり」
ということなら、必要最低限な低コストの提案を採用するのもよいでしょう。
あなたの意図や希望をきちんと聞いて、あなたとご家族のライフプランに合致した提案をしてくれる業者をお選びください。
まとめ
外壁塗装工事をしようと思ったら、必ず複数の会社で見積もりをとって比較(相見積もり)しましょう。
相見積もりの際に気をつけるのは、以下のポイントです。
1.相見積もりは3~4社からとる。
2.相見積もりを依頼するときの2つのコツ
HPなどで、下記の条件を満たす会社に依頼する。
(1)自社の職人を抱えている
(2)リフォーム瑕疵保険の登録事業者
(3)会社が自宅から近い
同じ条件・要望を伝える
3.業者を選ぶ際の見極めポイント7つ
点検に60分程度の時間をかけてくれるか
見積書に数量が記載されているか
説明が丁寧か
職人の研修・教育体制が整っているか
大幅値引きがないか
即決を迫られないか
アフターフォローがあるか
4.一社を決めるコツ
家族に相談する
金額だけに捉われない
ライフプランと合致したものにする
大切なご自宅のために、技術もあり信頼も置ける業者を探す際の参考になさってください。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。