

家周りを掃除していたら、外壁の目地部分(コーキング)が傷んでいたのに気付いた。
「補修しないといけないの?」
「補修するとしたら、どんなかんじなの?」
「工務店に補修を頼んだけれど、提案が妥当なものかどうか分からなくて不安。」
そんな疑問にお答えします。
外壁のコーキング(シーリング)の主な補修方法は、下記の2種類です。
・打ち替え
・増し打ち
「打ち替え」と「増し打ち」は、コーキングの場所や劣化状態に応じて使い分けられます。
費用の金額も変わってきます。
本記事ではこのコーキング部分の2種類の補修方法、打ち替えと増し打ちについて
・違いの比較
・使い分け方
を解説します。
紫外線、雨、風、暑さ、寒さ。
外の厳しい環境から家の中を快適に守る防波堤となるのが外壁です。
外壁のメンテナンスは必要不可欠であり、おろそかにしてしまうと建物の傷みは内部まで広がり、結果的に補修金額が膨らんでしまいます。
コーキングの補修は大切なご自宅をよい状態で保つために、とても大切です。 分かりやすく解説してまいりますので、ぜひ最後までお読みください。
1.コーキングの打ち替えと増し打ちの違い
上でも述べましたが、サイディングボードなどの境目をつなぐ目地部分、コーキング(シーリング)の補修方法には、
・打ち替え
・増し打ち
の2種類があります。
それぞれについて、くわしく解説していきます。
1-1 打ち替え

傷んだ古いコーキングを取り除き、新しいコーキング材を打ち込む方法。
古い部分を撤去する手間の費用が増えますが、
打ち替えをした部分は完全に新しくなるため、防水効果は十全になります。
費用相場:900~1,200円/m
1-2 増し打ち

古いコーキングはそのままにして、その上から新しいコーキング材を追加する方法。 元のコーキングを剥がす手間がないのと、コーキング材の使用量が減るため、費用が抑えられます。
ただし古いコーキングの状態が悪いと追加した部分が剥がれてしまうなど、「増し打ち」でよいかどうかは条件があります。
費用相場:500~900円/m この2種類の補修方法には、それぞれに長所短所があります。
施工する場所や劣化したコーキングの状態に応じて、使い分ける必要があります。
ではどう使い分ければよいのでしょうか。 次の章で解説していきます。
2.打ち替え? 増し打ち? コーキング補修の使い分け方
コーキングの補修で行われる「打ち替え」と「増し打ち」ですが、どう使い分けていけばいいのでしょうか。
・基本は「打ち替え」 ・例外的に「増し打ち」
ざっくり言うと、こうなります。 では「増し打ち」のほうが望ましい例外とはどんな場合でしょうか。
ご説明していきます。
2-1 基本は「打ち替え」

「打ち替え」とは、古いコーキングを除去し、完全に新しくコーキング材を打ち込む方法のことでしたね。
除去のための手間もかかり、コーキング材の量もたくさん必要になり、施工費用が「増し打ち」と比べると高くなります。
それなのになぜ基本は「打ち替え」なのか。
それは、コーキング部分が新品となるため、防水性・耐久性が完全なものとなるからです。
コーキング補修は建物全体の外壁塗装とセットで行われることが多いものです。
塗装に使う塗料や環境にもよりますが、通常、一回外壁塗装を行えば、次にまた外壁塗装を行うのは、さらに10年ほどたった後になることが多いでしょう。 古いコーキングの上から新しいコーキングを流し込む「増し打ち」では、傷んで固くなった古い部分は元のままです。 10年ほど先になる次の補修までに、内側のコーキングのひび割れがひどくなったり、隙間ができてしまったり、あるいは古いコーキングと新しいコーキングが分離して剥がれてしまう場合もあります。
そうなると防水性は失われてしまいます。
そのため、一般的には「打ち替え」が推奨されます。
2-2 「増し打ち」が適しているケース
「打ち替え」より「増し打ち」の方が適していることがあるのは、下記の場合です。
・窓やドアなどのサッシ周り
・入隅(いりずみ)
・外壁の素材がALCパネルのとき
・サッシ周り

窓やドアなどのサッシ周りでは、構造上、コーキングの奥に水の侵入を防ぐための防水紙などがあります。
古いコーキングを取り除こうとしてカッターを入れると、この奥にある防水紙を誤って切ってしまい、後々になってそこから雨水の侵入を許す可能性を残してしまいます。 コーキングを補修したのに、新たに別に雨漏りの原因を作っては元も子もありません。 このため、サッシ周りは古い目地を撤去せずに上からコーキング材を追加する「増し打ち」を行います。
・入隅(いりずみ)

入隅(いりずみ)とは、壁同士が突き当たってできた谷となる角の部分のことです。
入隅では、構造上の問題で既存のコーキングが撤去出来ません。 もし無理やり撤去しようとすれば、建材を傷つけてしまいます。 そのため「増し打ち」が適しています。
・外壁の素材がALCパネルのとき (但しコーキングの状態による)

ALC外壁の場合には、上で述べたようなサッシ周りなどの特別な場所ではない通常の目地部分に「増し打ち」で補修を行うことが多くあります。 その理由は、ALCパネルは他の外壁材に比べて厚みがあるため、目地の溝が深いからです。
溝が浅ければ、元のコーキングをそのままにすると、新しく打ち込めるコーキング材は少しだけになってしまします。しかし目地の溝の深いALCパネルであれば、「増し打ち」でも防水に十分な量のコーキングを充填できます。 実は大手ALCメーカーなどでも、1回目の塗装時は「増し打ち」、2回目は「打ち替え」、というメンテナンスが推奨されており、「打ち替え」がもともとの想定されたメンテナンス法になります。

「増し打ち」では「打ち替え」よりも費用が抑えられます。 ご自宅がALCパネル外壁の場合、「増し打ち」で補修を行うかどうか、専門家の方にしっかり点検してもらい、判断してください。
2-3 こんな方法もあります。「Vカット工法」
「Vカット工法」とは、古いコーキングがすべて撤去できないときに、表面で削れるところだけを削って、その上から「増し打ち」をする方法です。
そうすることで、完全に古いコーキングを撤去せずとも、新しいコーキングの厚みを十分に確保することができる工法です。
3.見積書では「打ち替え」と「増し打ち」の明細を必ず確認!

コーキング補修の「打ち替え」と「増し打ち」は、外壁塗装工事と同時に行われることがほとんどです。
外壁塗装工事にかかる総額の中では、コーキングは小さい一部分のように見えるかもしれません。
しかし業者がコーキングの補修方法を適切に分けて施工してくれるのか、請求金額は適正なのか、技術の確かさと誠実さを確認できるポイントとなります。 見積もりを依頼するときには、「打ち替え」と「増し打ち」がそれぞれ何m(数量)で、いくら(単価)するのか、必ず別々に明細を記載してもらいましょう。
【良い見積例】

【悪い見積例】

悪い見積例を見てください。
一式いくら、というだけでは、適正な価格なのかどうか、判断ができません。
また数量が不明なので、本来なら「打ち替え」で補修をしなければならない部分を、材料や手間の少ない「増し打ち」で済まされてしまっていたとしても、分かりません。 口頭で「プロですから、もちろんキッチリやりますよ」と言われたとしても、見積書に明記されていなければ、後々「言った」「言わない」のトラブルに発展しかねません。 満足いく補修工事を行うために、また後々のトラブルを防ぐために、見積書では「打ち替え」と「増し打ち」の項目は分けてもらい、数量と金額を確認してくださいね。
まとめ
ここまで、外壁コーキングの補修方法2種類について、お伝えしてきました。
1.打ち替え
古いコーキングを撤去し、新しいコーキング材を打ち込む方法。
900~1,200円/m
2.増し打ち
古いコーキングはそのままにして、その上から新しいコーキング材を追加で打ち込む方法。
500~900円/m
基本的には費用は上がるものの、防水性の高い「打ち替え」が推奨されますが、 例外的にサッシ周りや入隅、ALCパネルの場合などで、「増し打ち」のほうがより適している場合があります。 状況によって正しく使い分けが必要です。 見積書をもらった段階で、しっかりとこの2種類の補修方法が使い分けられているか確認しましょう。
つなぎ目、という場所はその性質上、非常に傷みやすい場所です。 外壁パネルと外壁パネルの境目、壁と窓の境目など、様々な場所をつなぐ部分に施されるコーキングは、建物全体を防水するのに非常に大事な部分です。 大切なご自宅を快適に長持ちさせるために、本記事をお役に立てていただければ幸いです。 最後までお読み下さりありがとうございました。
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「著者情報」
関裕一
東京都足立区出身 1級外壁・屋根調査士・ドローンパイロット
株式会社三誠ホームサービス 最高技術責任者
18歳から塗装職人として2.250件以上の施工に携わる。
塗装業界の歪んだ構造を塗り替えるべく、奇跡の「新時代塗装」倶楽部を主催している。 お家を長く保つアドバイスを、分かりやすくお伝えします。