

屋根は日々ダメージを受けています。
天気の良い日は強い紫外線を浴び続け、また天気の悪い日には雨風にさらされています。
特に近年、地球温暖化の影響で、酷暑に極寒と天候も不安定で、時には台風や突風からの
飛来物によって被害を受ける事もあります。

日々私たちの生活を守ってくれている屋根ですが、定期的にメンテナンスをする事で長持ちさせることが可能です。
そこで今回は、屋根のメンテナンスに欠かせない「塗装工事」について解説していきます。
下記の流れで進めていきますので、ぜひ最後までご覧ください!
・ 屋根が傷む原因は?
・ 屋根塗装とは?
・ 塗装が必要な屋根材と不要な屋根材
・ 屋根塗装の塗料の種類や特徴
・ 屋根塗装の施工の流れ
・ 業者選びのポイント
目 次
【1】 屋根が傷む原因は?
屋根を痛める原因の一つは「紫外線」です。
屋根材の種類にもよりますが夏場の炎天下での表面温度は80度を超え、逆に冬の夜は0度以下になる事もあります。

湿気、雨、雪や雹など、様々なストレス・・・

さらに、屋根は構造上最も高い位置にあるので、風の影響を最も受けることになります。
その為、台風直後は「雨漏りしている」「棟板金が飛んでしまった」などの問い合わせが増加します。
台風などの突発的な天災による被害などは避けられません。
だからこそ、定期的なメンテナンスが欠かせないのです。
そのメンテナンスの中で、価格を抑えつつ屋根材の耐久性を維持する事が出来るのが、
屋根塗装です。

【2】 屋根塗装とは?

屋根塗装とは、現在ある屋根に塗料を塗る工事です。
屋根塗装を行うと以下のようなメリットがあります。
・新築のような外観になる。
・屋根の劣化を防ぐ
・雨漏りの防止(家の腐食や劣化を防ぐことに)
【3】 塗装が必要な屋根材と不要な屋根材
屋根材によっては、塗装が必要なものと不要なものがあります。
屋根材には、瓦、スレート(コロニアル・カラーベスト)、金属屋根などいくつか種類があります。
まずはご自宅の屋根材の種類を確認しましょう!


1 スレート(コロニアル・カラーベスト)

日本の住宅の屋根の中で最も多いのがスレート屋根(コロニアル・カラーベスト)です。
厚みは約5mmと屋根材の中でも薄いながらも、20〜25年ほど持ちます。

ただ、主原料がセメントなので、吸水することにより劣化します。
屋根材を保護する塗膜が傷むと、屋根材が吸水⇄乾燥を繰り返し徐々に屋根材が反ってしまいます。
また、反った屋根が強風で煽られると割れてしまう事もあります。
表面を塗装することにより、防水性を維持することが重要です。
状況にもよりますが、スレート屋根の場合は10年毎に塗り替えが必要です。

特に日当たりの良い面は紫外線の影響を多く受けてしまうので、塗膜が劣化します。
また、陽の当たらない北側の屋根についても、湿気が溜まりやすいので苔が発生します。
「苔が生えたくらいで屋根は痛まないでしょ?」と思われる方もいらっしゃると思いますが、
実は苔が根付いてしまうと屋根の中に水分が蓄積してしまい、劣化します。
屋根塗装を行うことにより、苔を綺麗に取り除くことができ、吸水することのない(防水性を維持した)綺麗な屋根に仕上がりますので、メンテナンス時期が来たら必ず塗装を行いましょう。
▼スレート屋根/塗装工事のビフォー&アフター

2 金属屋根(トタン・ガルバリウム)

金属屋根は種類によって、塗り替えまでの年数が違います。
・トタン→5〜8年で塗り替え
・ガルバリウム→10〜15年で塗り替え

金属屋根は環境によって、耐用年数に差が出ます。
例えば、海の近くや、鉄粉や埃が飛んでくる工場付近では極端に耐用年数が短くなる場合もありますので、このような地域にお住まいの方は、早めにメンテナンスを行いましょう。

現在は、メンテナンスでトタンやブリキを使用することはほとんどありません。
というのも、軽量で耐震性が高く、耐久性も有る「ガルバリウム鋼板」の人気が急上昇してきた為です。
ガルバリウム鋼板の屋根は定期的なメンテナンスにより、錆による雨漏れや穴のトラブルを防ぐことができます。長期的に見ても優れた屋根材のひとつです。
▼金属屋根/塗装工事のビフォー&アフター

3 瓦は塗装が必要(※粘土瓦を除く)

瓦にもいくつか種類があり、その中でも塗装が不要な瓦と必要な瓦に分かれます。
瓦は、粘土を焼き固めたも瓦(素焼き瓦・釉薬器瓦・いぶし瓦)と、
セメントを主成分に成型した瓦(セメント瓦・コンクリート瓦)に分けられます。


瓦を屋根から外してじっくり観察すれば種類を判別することは可能です。
ですが、ご自身で屋根に登って瓦を外すのは、大変危険です。
ご自宅の瓦の種類を確認したいときは、街の外壁や塗装を行なっている業者さんに
相談してみましょう。

釉薬器瓦・いぶし瓦・素焼き瓦は塗装が不要とお伝えしましたが、塗装することは可能です。
それぞれの専用の塗料も販売しています。
ただ、一度塗装してしまうと、その後定期的に塗り替えが必要になりますので、注意しましょう。
また、粘土瓦の表面は滑らかなので、塗料が密着しづらく、塗装しても剥がれてしまう場合があります。せっかくお金を掛けて塗装したのに見栄えが悪くなってしまった・・・と後悔しないように、
陶器瓦といぶし瓦などは年々、風合いが増していく「経年変化」をお楽しみ頂ければと思います。
※素焼き瓦は古くなると水分が染み込みやすくなり、凍害を受けやすくなる為、塗装する方もいます。
4 コンクリート瓦とセメント瓦似ているので要注意!

コンクリート(モニエル)瓦とセメント瓦は形が似ています。
どちらの瓦も型に入れ成型されている為、形が均一で1枚が大きい為、必要枚数が少なく済みます。また、他の瓦に比べると価格も手頃だったので、40年ほど前に普及しました。

しかし、現在は廃盤になっているので、瓦の割れや欠けが激しい場合は葺き替え工事をおすすめしています。
素材自体は耐久性が高いので、定期的なメンテナンスを行なっている場合は屋根塗装ができる場合もあります。
▼紫外線・雨風・寒暖差などで劣化した屋根の塗装工事ビフォー&アフター

形が似ているコンクリート瓦とセメント瓦ですが、同じシーラーは使えません。
(屋根塗装をするときには、塗装面の下地処理をしてから仕上げ塗料を塗る必要があります。
この下地処理で使用される下塗り用塗料をシーラーと言います。)
それぞれ専用のシーラーを使用しないと、塗膜の劣化が早まり、すぐに剥がれてしまうので
注意が必要です。
瓦の見分け方としては、瓦の小口(角)がつるっとした真っ直ぐな切り口なのがセメント瓦、
逆に凸凹とギザギザしているならコンクリート瓦と覚えておきましょう。
業者の中にはこういった知識がないまま施工をしている場合もありますので、気をつけてください。

特に、コンクリート瓦(モニエル瓦・パラマウント・スカンジア等)は注意が必要です。
少し専門的な話になりますが、コンクリート瓦の表面には着色セメントとクリアー塗装で成形された「スラリー層」と呼ばれる膜があります。
このスラリー層は耐久性を維持する為に塗布されています。

基本的に屋根塗装は屋根材の種類に関わらず、塗膜が劣化したタイミングで塗り替えを推奨しています。しかし、塗膜がまだしっかりした状態で塗り替えをしても、密着性が悪く剥がれてしまうケースがあります。
一般的に屋根塗装の目安として、化粧スレートが10年前後、金属屋根が10〜15年と言われているのは、その屋根材の塗膜が劣化するであろう頃なのですが、この年数は新築後に初めて塗装をする場合になります。
2回目以降の屋根塗装は使用した塗料の耐久性に合わせて行なうようにしましょう。

この事を踏まえても、早く屋根塗装をすれば良いといわけではないことはお分かりいただけたかと思います。コンクリート瓦のスラリー層も同様です。
経年劣化によりスラリー層を保護するクリヤーがなくなり、スラリー層がむき出しになります。このスラリー層が大変脆弱で、指で少しこすっただけでも粉状になり、剥がれ落ちてしまいます。屋根塗装を行う際にこのスラリー層を丁寧に取り除き、下地処理をして密着性を高める必要があるのですが、知識がない業者の場合、高圧洗浄や下地処理を適当に行ってしまい「塗膜剥離」に繋がる危険性がありますので注意してください。
【4】 屋根塗装の塗料の種類や特徴

ここでは屋根塗装に使われる塗料についてご紹介します。
種類は大きく分けて「ウレタン」「シリコン」「フッ素」「無機」の4種類です。
それぞれの特徴について見ていきましょう!
ウレタン塗料→密着性、伸縮性が高いが手頃な価格。耐用年数は8〜10年。
シリコン塗料→耐久性と価格のバランスが良い塗料で、メンテナンスは10年に1度が目安。
現在使用されている塗料はほとんどがシリコン塗料と言われている。
フッ素塗料→価格は高いですが、耐用年数が15〜20年と比較的長いのが特徴。
耐久性が高く汚れにくい。日当たりの良い家(屋根に負担が掛かる)では人気。
無機塗料→耐用年数が20〜25年と非常に長いのが特徴。
石やガラスなどの無機物を取り入れた新しい塗料。
塗料の種類を選んだ後に、特殊効果を検討しましょう。
ここでは3種類の特殊効果をご紹介します。
遮熱塗料→屋根の熱吸収を防ぎ、暑さを柔らげる効果が有る。
断熱塗料→熱や冷気を防ぐことにより、真夏と真冬の両方に効果が有る。
光触媒塗料→日光で汚れを浮き上がらせ、その汚れを雨で洗い流す。
屋根の状況やご予算に応じて、ご自宅に合った塗料を選びましょう。

水性塗料にするか、油性塗料にするかによって、屋根のコンディションも変わります。

基本的に屋根は防水効果が高い油性塗料を使用することが多いです。
屋根は高所なので、臭いの心配も少なく、防水効果や耐久性の高い油性塗料が用いられます。
また、水で薄める水性塗料は臭いが少ないのが特徴です。
屋根材によっては水性塗料しか使えない場合もありますので、詳しくは点検や見積り時に業者に聞いてみましょう。
【5】 屋根塗装施工の流れ
ここでは工事を契約した後どのような流れで工事が進んで行くのか、図と写真で詳しく解説していきます。


足場の仮設は必ず行います。
職人の安全性と作業性の両方の面から必要不可欠です。

屋根の角度が急な場合は右の写真のように、屋根の上に足場をかける場合もあります。
ご自宅の屋根が急勾配でちょっと心配・・・という方も安心して作業を依頼することが可能です。
また屋根塗装時には塗料や高圧洗浄の水分が飛んでしまう可能性があるので、メッシュシートを張り、近隣住民の皆さまにご迷惑をお掛けしないように注意しながら作業を進めます。

アンテナ等が設置されている場合は、最初に移動した上で作業を開始します。
水圧150Mpaで屋根を洗浄し、汚れを取り除いていきます。
スレート屋根で多く見受けられる「苔」も落としていきます。
高圧洗浄の先端のノズルを変えて水流に回転をかけることも可能です。
トルネード回転をかけることにより、より確実に汚れを落とします。
苔やカビ、藻などが繁殖している場合は専用の洗浄液(バイオ洗浄)を使用し、しっかりと汚れを落とします。
高圧洗浄は大量の水を使用するので、屋根材も水分を含んだ状態になります。
なので、必ず1日は乾燥する日をとり、しっかり乾燥させます。


スレートにヒビ割れや、欠けている部分がある場合はこの段階で補修します。
専用の樹脂材でヒビを埋め、欠けている部分は接着します。
棟板金を固定している釘が緩んでいる場合は打ち込み、必要な場合は追加でステンレスビスを打ち、しっかり固定します。
棟板金は、ヤスリなどでサビや汚れ、古い塗膜を落とします。
屋根の一部が破損していたり、瓦がめくれてしまった場合でも、すぐに雨漏りが起きることはありません。雨を受けているのは屋根材ですが、屋根材の下には雨漏りを起こさない為に防水紙(下葺き材)があります。防水紙に穴や破れがなければ雨漏れすることはありません。
ただ、なるべく早めに補修して雨漏りを事前に防ぐようにしましょう。


塗料が飛んで、塗る必要のない部分を汚してしまうことを避ける為に養生を行います。
屋根塗装は外壁塗装に比べると養生部分は少なめです。


シーラーやフィラー、プライマーと呼ばれる下塗り用の塗料を塗ります。
スレート屋根の下塗りで弊社が主に使用しているのは「ベスコロフィラー」です。
ベスコロフィラーはシーラーレスフィラー(下地調整と下塗りが一度で可能な下塗り材)です。
厚膜の形成でスレートを強化し、仕上げ塗りの塗料を密着させる役割を果たしています。
また、スレートの屋根塗装の場合は、下塗り後に「縁切り」を必ず行います。

タスペーサーの設置について、シングルの場合は屋根材1枚にタスペーサーが1つ、ダブルだと2つ設置することになります。
ダブルの方がしっかりと縁切りが行えますので、ダブル施工をおすすめします。
「ダブルにすると屋根が割れやすくなると聞いた事が・・・」とご相談いただくこともありますが、
過度な衝撃を与えなければ(タスペーサーを差し込んだ部分に何度も乗ったり)割れることはありませんので、ご安心ください。



下塗りが乾いた後は「中塗り」を行います。
屋根は特に耐久性が求められるので、丈夫な塗膜を形成するために、
仕上げ塗りは2回(中塗りと上塗り)行います。
ここ数年は、夏の暑さを軽減し、光熱費の節約にもつながる「遮熱塗料」が人気です。
遮熱塗料で屋根塗装を行なったお客様からも「ここまで効果があるなんて思わなかった!」と
感動の声を多数いただいております。
少しでも興味がありましたら、お気軽にご相談ください。
ちなみに「遮熱」と「断熱」の違いについてここで触れておきます。
簡単に言うと、遮熱は太陽光を反射させて外から中に熱を入れないことで、
断熱とは熱伝導率を低くし、家を魔法瓶のようにすることを指します。
特徴が全く違うので、夏の暑さと冬の寒さ、ご自宅の環境を踏まえて、使う塗料を検討してくださいね。


中塗りが乾いた後「上塗り」を行います。
仕上がりを見てみると、新築の頃の屋根のようです。
これで次のメンテナンス時期を迎えるまでは、雨漏りなどを心配することなく
過ごしていただくことができます。
今回の工事では遮熱塗料を使用したので、夏の暑さも怖くありません!


上塗りが乾燥したら、屋根塗装は完了です。
この後は「点検・確認」を行います。まずは弊社のスタッフが行った後、今度はお客様とご一緒に点検・確認を行います。
普段なかなか見ることのできない屋根をじっくりと見られるチャンスです!
(※この段階ではまだ足場はかかっていますので、可能であれば一緒に上がってみてください。
安全のために、ヘルメットをお渡ししております。)
点検・確認後、何も問題がなければ足場の撤去、 周辺の清掃を行います。
最後に弊社からお客様に「保証書」をお渡しして、竣工となります。
保証内容に沿ってスタッフが定期点検に伺いますので、引き続きよろしくお願い致します。
【6】 業者選びのポイント

屋根塗装を検討される中で、お客様のご要望は様々です。
「費用をできるだけ抑えたい」「ご近所さんに迷惑をかけたくないから早く工事をしてほしい」等・・・
普段の生活を送る中で工事をすることになるので、費用や近隣住民との関係性などは多くの皆さんがお悩みになることだと思います。
もちろん、安く早く適正に工事できる業者が理想ですよね。
しかし中には、
「見積りが安かったから依頼したけど、安い塗料を使われていた」
「早く工事をしてもらったけど5年も持たずに剥がれて、2回塗りだった事に気づいた」
と、せっかく工事をしたのに後悔してしまう内容だったと言う方もいらっしゃいます。

適切な塗装工事を行うには、ご紹介した「施工の流れ」は必要なので、工事が1日や2日で終わることはまずありません。
また、耐久性の高い機能性塗料を使用するとなると、塗料自体の価格が高いので、それに伴い全体の費用も高くなります。
ただ、安価な塗料で持ちの良くない工事をやるより、多少費用は掛かっても質が良く、長持ちする工事を選びたいですよね。
例えば、塗装工事後に、タスペーサーの未設置による雨漏りが起きてしまったり、
下塗りが不十分だった為、色ムラが出てきたり・・・など、後悔するようなメンテナンスを行う業者を選んでは欲しくありません。
サンセイホーム(株式会社三誠ホームサービス)では、点検・見積りを無料にて承っております。
もちろん相見積もり、適正価格の把握が目的といった場合でも構いません。
ぜひお気軽にご相談くださいね。
まとめ
いかがでしたか。
今回は屋根塗装の必要性とそのポイントについてご紹介しました。
◾️屋根は塗装が必要な屋根材と不要な屋根材に分かれていますので、まずはご自宅の屋根材の種類を確認しましょう。
◾️スレートや、金属屋根材は塗膜の劣化に対しての塗装が必要不可欠です。
・スレート→10年前後
・トタン→5〜8年で塗り替え
・ガルバリウム→10〜15年で塗り替え
◾️コンクリート瓦、セメント瓦は吸水することにより耐久性が低下します。
特にコンクリート瓦は密着性を高める為にしっかりと処理しなくてはならないので、実績の多い信頼できる塗装業者に依頼しましょう。
◾️屋根材により施工の流れや内容は若干変わりますが、屋根塗装に「高圧洗浄」と「3回塗り」は必要不可欠です。
また十分に乾燥させる事が綺麗に仕上げるコツなので、大幅な工事短縮はできません。
◾️メンテナンスを行うのに費用や工期は重要です。しかし工事の質が悪ければ、再施工や場合によっては雨漏りを起こす可能性もあります。
工事を依頼する業者を選ぶ際には、施工実績のある正しい知識を持った業者を探しましょう。
必見!プロが教える外壁塗装の見積書の見方と選び方!

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「著者情報」
関裕一
東京都足立区出身 1級外壁・屋根調査士・ドローンパイロット
サンセイホーム(株式会社三誠ホームサービス) 最高技術責任者
18歳から塗装職人として2.250件以上の施工に携わる。
塗装業界の歪んだ構造を塗り替えるべく、奇跡の「新時代塗装」倶楽部を主催している。
お家を長く保つアドバイスを、分かりやすくお伝えします。
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