川口市の栄町、3階建て住宅が塗り替えで、理想通りの外観へ蘇り。気になる劣化の悩みも解消!
- 1級外壁・屋根調査士 関裕一
- 2021年11月28日
- 読了時間: 9分
更新日:2023年12月24日
目 次
工事のきっかけはこうです!
川口市にお住まいのN様から、ご相談がありました。「地震の後に、外壁にひび割れが入ってしまったのを機に、塗装工事を決心しました。」
近所に住むお友達が、外壁塗装工事を行っていたので、同じ業者を紹介してもらったとのことです。
その前に合計4社で見積もりを取ったのですが、なかなか決心がつかずにいました。
弊社の営業マンが誠意のある丁寧な対応だったことと、工事の費用が適切であった理由で、弊社で工事を行う決断をされました。
塗装工事の後は、希望通りのツートンカラーに!

川口市、栄町にある、RC造の3階建て住宅です。屋根はカラーベスト、外壁は伸縮目地ありのモルタル外壁です。
お宅に伺い、状態を調査させて頂きました!

写真は施工前の建物を映したものです。側面と、正面の様子です。茶系のグラデーションでまとめてある、落ち着いた雰囲気のあるお住まいです。
伸縮目地が設けられたモルタル外壁で、1階の正面は、タイルが貼ってあります。
外壁はモルタルのスタッコ仕上げ、状態は良好でした。

モルタル壁のスタッコ仕上げは、化粧漆喰とも呼ばれます。
写真のように凸凹しています。石灰と水、セメントや砂を混ぜて作られています。
それをコンプレッサーと呼ばれる機械で、モルタルに吹き付けていく方法です。リシン吹付に似ていますが、違いは素材です。リシンは塗料に砂を混ぜているので、同じ凸凹の外壁でも、塗膜は薄くなります。
スタッコ仕上げの方が、5~10㎜程度厚塗りになります。今回は、表面の状態が良かったのでフラット仕上げで塗装します。
ヘアークラックは、何ヵ所か確認できましたが初期段階のクラックです。大掛かりな補修工事は、必要ありません。その場合は、下地調整費が抑えられます。
伸縮目地が設けられている、モルタル外壁の塗り替えを行う際は、目地へのシーリング工事を行うことが多いのですが、今回は目地の状態も良好で、下塗りに微弾性フィラーを使用するため、目地へのシーリング工事も行いません。
フィラーは比較的厚く塗装されますので、スタッコの凸凹をなだらかにして波形の模様にしたり、それによって、上塗り材をある程度均等な膜厚で塗ることができます。
また、その名の通り、僅かですが弾性がありますので、下地のひび割れに入り込むことも担うことができます。
この建物がRC造であることも、関係しているでしょう。RC造は柱や梁など強度が必要な部分に、鉄筋でできた枠型に、コンクリートを流し込んだ素材を用いるものです。
鉄筋は引っ張る力に強い特徴があり、コンクリートは圧縮に強いという特徴があります。モルタルは引っ張りに弱く、圧縮に強い特徴を持っています。
異なる素材のいい面を活かし、強度を高めている組み合わせです。一般的な木造住宅よりも、耐久性が高いのです。
台風で波板が飛散してしまいました。

台風の強風で、3階ベランダの波板が、飛散して無くなってしまいました。台風後は、どこのお宅でも波板やポリカ板の被害が非常に多いものです。
今回は、外壁と屋根塗装のついでに新しい波板も取り付けさせていただきます。
強風の日に、飛来物が樋を破損しました。

隣のガレージ倉庫から、トタン屋根が飛んできて樋に激突した為に、樋に穴が開きました。と、N様はおっしゃっていました。
トタン屋根が飛んで来て、樋の破損だけで済んだので、不幸中の幸いと言えます。
樋を交換するのがベストですが、費用が高くなってしまうため、今回は施主様とご相談してアルミテープで穴を塞いでから塗装を行います。
ただこの補修は、ほんの気持ち程度の補修なので、機会をみて交換することをお勧めします。
屋根は、シーラーレス塗料を使用しました。

一番高い部分から塗装していきますから、屋根から塗装を行います。屋根材は、カラーベストです。
今回の塗装工事では、大同塗料から出されている「ハイルーフマイルドシリコン」という塗料を使用しました。この塗料の最大の特徴は、下塗りが不要のシーラーレスという点です。
通常は、「下塗り・中塗り・上塗り」の3回の工程が必要なのですが、下塗りと上塗りの性能を兼ね備えている塗料です。
弊社では、屋根の平米数が狭い場合はこの塗料を使用した方が、お客様が負担する費用を抑えられるために、「ハイルーフマイルドシリコン」をお勧めさせていただく場合があります。
隅から刷毛で塗り、ローラーで中央部分を塗っていくという工程は変わりません。
屋根塗装が、完成しました。

屋根を2回の工程で、塗り終えた段階の写真です。色の選択ですが、N様のお好みを取り入れて、グレーで塗装することに致しました。
遮熱塗装ではないので、大きな効果は得られませんが、淡い色を使用しているため多少の遮熱は期待できると思います。(あくまでも黒や暗い色を使用した場合よりはですが…)
遮熱は、光を反射させることで温度の上昇を防ぐことを指します。夏の日差しが、屋根に当たり続けると屋根の温度が高くなり、その熱が屋内に放射され、室内の温度を上昇させる現象が起こります。
夏場の暑い時期は、快適に暮らすには、遮熱対策が役立ちます。
同じく大同塗料からは「ハイルーフマイルドシリコン」の遮熱型も出ているので、遮熱性を重視したい場合は、そちらを使用することもあります。
ラジカル制御型塗料を使用して、外壁塗装。

次は、外壁塗装の工程をご紹介します。
外壁は通常通り「下塗り・中塗り・上塗り」の、3回の塗装を行います。
下塗りには、日本ペイントの「アンダーフィラー弾性エクセル」を使用しました。モルタルなどの下塗りに良く使用される下地調整材、微弾性フィラーです。塗料に弾力を持たせることにより、ひび割れの時の動きに追従して保護します。
塗り残しや塗りムラなどの「ダメ」が出やすい部分を、先に刷毛や小さいローラーで塗る「ダメ込み」を行ってから、広い面をサイズの大きなローラーで塗装していきます。
私達が言っているダメとは、もちろん「駄目」のことで、本来であれば塗装されていなくてはならない部分なのに、塗られていなかったりする施工不良のことです。
塗装の業界では、このダメ込みを行うということは、基本中の基本です。手間がかかる養生や、ダメ込み作業こそ、しっかり行う業者は優良とされています。
フラット仕上げで外壁塗装をします。

微弾性フィラーを使用して下塗りを行う場合は、塗膜の厚みが確保できる「なみがた仕上げ」という工法が一般的です。
塗膜の厚みが確保できるのが、なみがた仕上げですが、今回は既存のスタッコの状態が良い為、フラット仕上げという方法で下塗りをしています。
その場合は、使用するローラーは、羊毛ローラーというものを使用して塗装しています。
これは繊維でできたローラーで、塗料を均一に塗る際に使用するローラーです。外壁材そのものや、今回のようにスタッコの凸凹を残したまま、塗装をするときに選択されるローラーです。
外壁塗装の中塗り・上塗り工程です。

外壁の色のは、N様のご希望で2トーンカラーで仕上げていきます。
メインカラーには、グレーを使用します。仕上げ剤の塗料で、中塗りからグレーで塗装していきます。
中塗り、上塗りと、キレイに塗れない部分から刷毛などで丁寧に塗っていきます。
中塗り・上塗りには、日本ペイントの「パーフェクトトップ」を使用しました。近年非常に良く使用されているラジカル制御型塗料です。
ベランダの腰壁は、アクセントカラーで塗装します。

アクセントカラーとなるのは2、3階のベランダの腰壁部分です。N様のご希望の色で、空のような青を選種しました。
風景に映える色、パキッとした仕上がりになりました。

ベランダ腰壁と樋の塗装が、終了した段階の写真です。外壁と、付帯部のコントラストも鮮やかにパキッと綺麗に仕上がりました。
足場が無くなると、ご自身ではなかなか確認できない部分です。塗装工事が終了し、足場を解体してしまう前に、職人さんや現場監督にご自身の気になる部分の「終了写真を撮って見せてください」と伝えましょう。
中塗りと上塗りの塗り残しや塗りムラが、素人目にもすぐに分かるように、中塗りと上塗りの塗料の色を変更して塗ることもできますので、そういったご希望がある場合は、お気軽に担当の者にお伝えください。
付帯部に、塗装を行います。

付帯部の塗装で鉄部は、ケレンで錆や劣化して捲れた塗膜をきれいに落とした後に、錆止めを塗ります。
鉄部に使用する塗料は、日本ペイントのパーフェクトトップシリーズですが、外壁に使用した塗料とは違う「ファインパーフェクトトップ」を使用しました。
外壁と鉄部の塗料を変える理由を、ご存じですか?

答えは外壁に使用した「パーフェクトトップ」は水性塗料です。
鉄部に使用した「ファインパーフェクトトップ」は油性塗料です。
日本ペイントの仕様書には、どちらも鉄部に塗装可能と表記されていますが、実は水性塗料と鉄部の相性があまり良くなく、塗料が密着しないことが分かっています。
その為に弊社では、鉄部には油性塗料を使用することが多いのです。
破損した樋の補修を行いました。

強風で飛んできたトタン屋根が、ぶつかって破損していた樋は、アルミテープで穴を塞ぎ、その上から塗装をしました。
雨水がテープの隙間に入り込み、テープが浮いてきたり、剥がれてしまうと塗膜ごと剥がれてしまいます。早めに、メンテナンスを行う必要性があります。

ベランダ防水が完了しました。

2階と3階は、ベランダもウレタン防水を施工しています。
工事が、完了しました!

こうして無事に工事が完了しました。N様にも、「希望通りの色に、仕上がりました」と大変喜んで頂けました。本当にありがとうございました。
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「著者情報」
関裕一
東京都足立区出身 1級外壁・屋根調査士・ドローンパイロット
サンセイホーム(株式会社三誠ホームサービス) 最高技術責任者
18歳から塗装職人として2.250件以上の施工に携わる。
塗装業界の歪んだ構造を塗り替えるべく、奇跡の「新時代塗装」倶楽部を主催している。
お家を長く保つアドバイスを、分かりやすくお伝えします。
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