目 次
工事のきっかけはこうです!
川口市にお住いのM様から「白い外壁の汚れが目立つので、濃い色に塗り替えたいのですが。」と、ご相談を頂きました。築22年を、経過しているお住まいです。
実はM様は、フッ素樹脂を扱うメーカーにお勤めの方で、外壁に使う塗料はフッ素塗料をと、最初に希望をご指定されました。
見違えるように、に変わりました!
調査に伺ったところ…。
窓枠の辺りに、部分的に黒ずんだ雨垂れの汚れが目立ちました。
塗りたての塗膜は、綺麗ですが、表層のクリア塗装が劣化すると、撥水性が弱くなり、雨水が乾きにくくなる為に、苔や雨垂れ汚れが付きやすくなることが、原因と考えられます。
M様のお宅のように、過去に「セラミック塗装・石調塗装」をされた方は、塗り替えの際に注意が必要です。日当たりの良い側面は塗装の劣化が著しく、手でサッと撫でただけでも、表面がボロボロと崩れてしまいます。
この場合は、塗装工事の際に、下地調整と下塗りを慎重に行う必要があります。
雨樋は、塗装が剥離していました。できる限り、古くて捲れ上がった塗装を除去しますが、電動工具を使うと、雨樋に穴が開くので手作業で行うことになります。
工事の初めは、足場の仮設工事からスタート!
足場の仮設工事は、工事を安全に行うためには、必須です。この度の工事では、クサビ緊結式足場を、使用させて頂きました。
特徴は、組み立てが早く、作業の際の安全性が高い足場であることです。
ただし、組み立・解体作業の際には、金づちで叩き込む騒音が伴いますので、ご近所にお住まいの方への配慮が必要になります。
工事中は、M様が車を停められるように、お住いのカーポート部分には柱を立てませんでした。
次に、高圧洗浄を行います。
塗装工程の前には、高圧の水流で、建物全体を洗浄します。
22年間を経て付着した汚れやコケ等そして、劣化した塗膜を徹底的に洗い落としていきます。高圧洗浄の作業を丁寧に行うことで、塗装施工の時に塗料がしっかりと下地に密着し、塗膜の耐久性が保てるようになります。
高圧洗浄を丁寧に行うことは、より長持ちさせる塗装施工に繋がります。
高圧洗浄の際に、流れ出た汚水には、大量の砂が含まれていました。
では、なぜ砂が出るのでしょうか?この砂は、以前の塗装工事の塗料「セラミック塗料」に含まれる成分です。
セラミック塗料には、成分として砂・砂利を細かく砕いたものと、樹脂が配合されています。
長年にわたり、建物の壁が紫外線を浴び続けることで、樹脂が劣化すると、結合していた砂が流れ落ちるのです。
この度の工事では、洗浄後に建物全体を点検した結果、当初に予定をしていた下塗り材では、不具合の恐れがある為、別の下塗り材に変更しました。
こちらの塗料で、塗装工事を行いました。
下塗り材ですが、高圧洗浄後の壁の状態が想定より、以前の塗膜の劣化が激しかった為に、今後の仕上がりへの影響を考慮した結果、もっと適した下塗り材に変更することにしました。
こちらの下塗り材は、老朽化のために脆弱になった下地材に、浸透して固める効果があり、さらに造膜効果によって、上塗りの塗料の吸い込みを抑える、という効果があります。二液タイプの浸透造膜シーラーを使用しました。
仕上げ剤の塗料には、フッ素樹脂塗料を使用しました。日本ペイントの高耐久塗料「ファイン4Fセラミック」です。こちらは、二液タイプの弱溶剤塗料(シンナー臭があります)です。
フッ素樹脂の特徴は、撥水性が高い、汚れが付着しにくい、塗膜の寿命が長いなどですが、フッ素塗装の撥水性は、単に雨水を弾くのではなく、なじませることで、塗料と汚れの間に雨水が入り込み、汚れを流すという特徴があります。
ただし、価格が高価なことと、次のメンテナンスの際に、塗り替えに手間がかかるなどのデメリットもあります。塗料の選択には、様々な種類の塗料の特徴などの知識が必要になります。
塗膜が老朽化すると撥水性が弱くなり、雨水が乾きにくくなるので、湿ったところに汚れや苔が付着しやすくなります。
それだけではなく、劣化が進むと、下地の建材自体が、雨水を吸収して建物の内部にも浸透することになりかねません。定期的にお住まいを点検し、早めにメンテナンスをすることは、お住まいを長持ちさせることに繋がります。
塗装工程は、先ずは下塗りからです。
左の写真で、比べてみてください。中央の雨樋を境に、右側が浸透造膜シーラーを塗布した後で、左側が塗布前の状態です。一度塗りなのですが、塗布後の右側の方がしっかりと塗料の膜ができて、艶があります。
通常のシーラーでは、艶がでるまで2~3回は塗り重ねる必要があったかもしれません。この膜によって、上塗りの塗料の吸収を抑えることができ、さらに塗料の密着性を高めます。
これで安心して、仕上げの塗装工程に入ることができます。
仕上げの塗装工程へ!
下塗りを終えて、外壁が一旦真っ白になったところに、主剤塗料のファイン4Fセラミックで、仕上げの塗装工程を行います。
仕上げには、中塗りと上塗りの、2工程の塗装施工を行います。
今回の工事では、通常ではローラーで塗りにくい、凹凸の大きな外壁でしたが、周囲への余分な塗料の飛散を考えた結果、ローラーが最適だと判断しました。
凹んだ部分は、塗料が届かないので、刷毛を使って、塗り込んでいきました。
この工程を、2回繰り返します。そうすることで、塗装面に耐久性が増し、色味にも重厚感がでます。
色の選択ですが、今回の工事では、M様のご希望で、濃いグリーンを選びました。フッ素塗料の特徴である、艶感が出て、外壁が日光を浴びてキラキラと輝いています。
下塗り、中塗り・上塗りと3工程の塗装を施工することは、湿気や汚れの付着からお住まいを保護し、更に長持ちさせることにも繋がります。
フッ素塗装工事の完成!
足場を解体し、これで工事が完成しました。
ブリティッシュグリーンの濃く深い緑色の外壁は、白く残した窓枠がいっそう際立ち、重厚な雰囲気を演出しています。
M様からは「近所の方からも、センスのいいお住まいですね!」と褒められましたと、喜んで頂けました。
フッ素塗装工事を行ったことで、耐久性も増し、強い撥水性で、施工前の黒ずみ汚れのお悩みからも解放されました!
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「著者情報」
関裕一
東京都足立区出身 1級外壁・屋根調査士・ドローンパイロット
サンセイホーム(株式会社三誠ホームサービス) 最高技術責任者
18歳から塗装職人として2.250件以上の施工に携わる。
塗装業界の歪んだ構造を塗り替えるべく、奇跡の「新時代塗装」倶楽部を主催している。
お家を長く保つアドバイスを、分かりやすくお伝えします。
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