
目 次

上記の写真は福岡県で発生した台風被害の様子です。工場の屋根が飛び、道路をふさいでしまいました。
2020年(令和2年)9月に発生した台風10号は日本各地に大きな被害を与えました。
10号は九州の西側を通りましたが、約46万4,000戸も停電するほどの台風です。
横浜国立大学の筆保教授は、次に日本列島に上陸する台風は日本に甚大な被害をもたらすというようなコメントをしています。
台風が来れば、海面水温が1~2℃程度下がります。
これは、台風によって水深の深いところの海水までかき混ぜられるからです。
なので、九州付近は台風10号によって海水温が下がっています。
しかし、このときの東海地方や関東地方付近の海水温は平年差で2℃も高いとこが多いです。
この海水温は数十年に一度と言われるほどの異常な温度です。
筆保教授は、このような点を挙げて次の台風の危険性について話しています。
下記には、今回の台風10号が過ぎた後の海水温(9月7日)を掲載しているので確認してください。
この図を見ればすぐに分かりますが、日本の南側の海は、広範囲で30℃を示していることがわかります。
そして、10号は九州の横を通過したにもかかわらず、海水温がそれほど下がっていないことも心配な点です。

2020年9月7日現在の日本周辺の海面水温です。南側は広範囲で30℃になっていることがわかります。
一般的に海面温度が26.5℃以上あれば台風は発生すると言われています。
その発生した台風は、海面温度が27℃以上あれば発達するとも考えられているようです。
日本の南側の海では、広い範囲で30℃の海面温度が確認されています。
そんな海で台風が発生すると、ドンドンと発達を続けて風速67m以上もあるスーパー台風と呼ぶ状態にまで成長することもあるでしょう。
ウェザーマップ会長を務める森田さんは、今後の台風について下記のような点を懸念しているようです。
2020年5月に発表した世界気象機関のWMOの内容では、台風が発生する数は減る傾向だが、大きさは大型化して勢力も強くなるとのことです。
そして、森田さんもまさにそのとおりだと話します。
台風は海のエネルギーを吸い取るという一面もあわせ持っているそうです。
台風の数が減るということは、台風によってエネルギーを吸い取る量も減るということ。
エネルギーが海に残っていることで、発生した台風は残っているエネルギーを吸い取りながら日本に近づくため、大きさは大型化して勢力も強くなるということになるでしょう。
9月は4.8個が平均的な発生率です。
その中の2~3個程度は日本に来ると森田さんは話します。
日本の南側の海面温度が高いうちは、大型で強い台風がいつ来てもおかしくない状態なので要注意です。
また、筆保教授は台風の進路についても指摘しています。
台風は夏と秋とで進路に違いがあるのが特徴の一つです。
夏は日本を高気圧が覆っているので、とても暑い日が続くことがありますが、夏の台風はこの高気圧に沿って移動をします。
高気圧が日本を覆っているタイミングでは、台風が発生しても日本には近づくことができません。
なので、台風は高気圧に沿って北上するだけです。
しかし、秋になると日本の上空では偏西風という西からの風が吹きます。
秋の台風はこの偏西風の影響を強く受けます。
夏は高気圧があればその横を沿って動くので、ただ北上をするだけでした。
しかし、秋の台風は偏西風という西風によって徐々に東寄りへと進みます。
台風10号は九州を北上しましたが、これからの台風は偏西風によって日本列島に近づくようなコースをたどると筆保教授は話します。
そのため、次に発生した台風は偏西風の影響で、四国や関西、東海や関東に上陸する可能性が高くなっているということです。
10号はとても強い台風でしたが、ネット上では「たいしたことがない」などというコメントも見ることができます。
しかし、この程度の被害で終わったのはたまたまといっても良いでしょう。
今回の被害程度で済んだことについて筆保教授は下記の点を指摘しています。
・10号が予想していた進路よりも西に移動をした
・10号の直前に発生した8号や9号の影響で海水温が低下していた
この2点によって、予測したほどまで台風が発達しなかったために、被害もこの程度で済んだようです。
森田さんは、台風への事前対策や早めの避難が大切だとも話します。
今回の台風10号の最大瞬間風速は60m/sに迫る風速を記録しました。
この60m/sという風は時速では214km/hで、竜巻に近いほどの強さがあります。
このくらいの風が吹くと、コンクリートでできた電柱が折れたり、樹木が倒れる、大型の自動車が横転したりすることもあります。
台風10号は、去年に関東に上陸して大きな被害を与えた15号や19号よりも強い台風です。
去年の15号は、令和元年房総半島台風とも呼び、関東に上陸した台風の中では観測史上最強クラスです。
この台風によって千葉県周辺の地域に甚大な被害を出しました。
その台風よりも強い、もしくは同じくらいの台風が9月くらいには関東を襲う可能性があると森田さんは心配しています。
現代は、過去と比較して確実に気象が変化しているので、事前の台風対策、早めの避難が重要だと森田さんは話しました。
車が横転するほど強い風が吹く可能性がある台風では、近づいてから車で避難する方が危険と考えることもできるでしょう。
また、古い家屋では屋根材の経年劣化、ネジや釘のゆるみによって家屋が破損する可能性もあります。
強い台風が近づくと予想されるときには早めの避難が重要ですし、台風時期の前には台風が来ても耐えられるように、雨漏り修理や屋根の葺き替え、屋上防水の点検や外壁塗装など、家屋の点検や修繕を済ませることが大切です。

宮崎県では、台風10号の影響で4人が行方不明となる土砂崩れが発生しました。

鹿児島県では台風10号の影響で家屋が倒壊。空き家のため、だれも被害を受けなかったようです。

上記の写真は佐賀県の県庁前です。街路樹が根元から折れています。

九州各地で大規模な停電が発生。宮崎県では強風で電柱が折れてしまいました。
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「著者情報」
関裕一
東京都足立区出身 1級外壁・屋根調査士・ドローンパイロット
サンセイホーム(株式会社三誠ホームサービス) 最高技術責任者
18歳から塗装職人として2.250件以上の施工に携わる。
塗装業界の歪んだ構造を塗り替えるべく、奇跡の「新時代塗装」倶楽部を主催している。
お家を長く保つアドバイスを、分かりやすくお伝えします。
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