「もしかしてうちも?」と思ったら!正しいアスベストの影響・症状・対処法を解説
- 1級外壁・屋根調査士 関裕一
- 2021年10月22日
- 読了時間: 6分
更新日:2023年12月24日


40年以上も前から身体への影響が問題になっているアスベスト。
2012年には製造禁止になっているものの、それ以前に建てられたお家に住んでいたら不安に思うこともあるかもしれません。
ですが正しい知識を身につけて適切に対処すれば、健康被害を防ぐことはできるのです。
この記事ではアスベストとは何か、どのように取り扱えばよいかについて詳しく紹介します!
目 次
そもそもアスベストって?

繊維状に変化した天然の鉱物を総称してアスベストと呼びます。
石綿(せきめん・いしわた)とも呼ばれ、昔は学校の理科室にもあった石綿金あみという器具にもアスベストを使っていました。
その繊維は髪の毛の5000分の1程度と非常に細く、耐久性に優れていることから建築材料として使われてきました。
耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性などにも優れており安価だったため、様々な製品にも使用されていました。



アスベストはなぜ禁止されたの?

第二次世界大戦前、ドイツではアスベストが肺癌の原因になる可能性が高いという研究がありました。
ですが、大戦中や大戦後の混乱の最中はしばらく話題に上ることはありませんでした。
その後1970年代にアメリカでアスベストの健康被害に対する訴訟が相次ぐようになります。
アスベストの健康被害

アスベストは髪の毛の5000分の1程度の太さほどの細さで非常に軽く、空気中に飛散しやすい物質です。
もし空気と一緒に吸い込んでしまい肺に入った場合、排出することは難しく、体内で分解することもできません。
吸入してしまった場合には、中皮腫の発生や発がん性が高まることが指摘されています。
中皮腫…胸膜にできる腫瘍のこと。悪性と良性のものがあり、アスベストは悪性の中皮腫を引き起こすとされている。
肺がん…アスベストの吸入によって、肺での発がん性が高まることが知られている。
アスベストに対する規制
日本では70年代から段階的に規制が進んでいます。
1975年 アスベストの吹き付けが原則禁止
1985年 水道用石綿セメント管生産の中止
1989年 大気汚染防止法改正(石綿が規制対象になる)
1991年 廃棄物処理法改正(飛散性石綿含有廃棄物を特別管理)
2004年 石綿を1%以上含む製品の出荷を原則禁止
2006年 石綿を0.1%以上含む製品の出荷を原則禁止
2012年 石綿が完全に製造禁止

Q. 水道水にアスベストが含まれていると聞きました
水道管に石綿セメント管が使われているため、水道水にアスベストが含まれていると聞きました。
本当に飲んでも大丈夫でしょうか?
A. 水は無害です。

以前水道管に石綿セメント管が使用されていたのは事実ですが、水は無害なのでご安心ください。
石綿セメント管は撤去が進んでいるものの、一部まだ使われているところもあります。
ですが、石綿は空気中に飛散したものが肺に入ることが問題とされているため、世界保健機関(WHO)や厚生労働省の見解では水と共に飲みこんでしまっても問題はないとされています。
Q. 自宅にアスベストを含む建材が使われていないか心配
自宅の建材にアスベストが入っているかどうかを調べたいのですが。
A. 建材のメーカー・品番が分かれば検索できます。
使用されている建材のメーカー・品番が分かればアスベスト含有か調べることができます。
国土交通省
日本石綿協会
ロックウール工業会
石膏ボード工業会
のホームページで簡単に検索できますので、建材について情報が分かればぜひ試してみて下さい。
Q. 築15年のスレート屋根にアスベストは使われていますか?
21世紀を記念して2001年に家を建てました。コロニアル屋根です。この中にもアスベストは入っているのでしょうか?
A. 入っている可能性は高いですが、無害です。

アスベストは、素材を破砕しない限り飛散したり人体に影響が出ることはありません。
屋根の修理やリフォームをされる際も適切に対応すれば無害です。
どうか安心してお家でお過ごしください。
Q. 近所の工場が屋根も外壁もスレートで不安。
家の近所に数十年前からの古い工場が建っています。
屋根にも外壁にも波型のスレートが使われているため、アスベストの影響がないか不安です。
A. 壊して飛散しなければ大丈夫です。

スレートが破砕しない限り、アスベストは飛散することはありません。
また、アスベストが含まれている建材はかなり頑丈で、劣化しているように見えても自然に壊れてしまうことは考えにくいことです。
もし心配でしたら、お住まいの自治体へご相談することをおすすめします。
Q. 訪問業者に近所全員が肺がんになると言われた
自宅にきた業者に、屋根も外壁もアスベスト入りの建材だから、家族どころかご近所にもアスベストの被害が出ると言われ不安です。
やはり肺がんになる危険性は高いのでしょうか?
A. 肺がんのリスクは喫煙の2分の1以下です。

アスベストは浮遊・飛散することで健康への影響があると知られていますが、建材にアスベストが使われているだけではそのリスクはありません。
それどころか、喫煙者の方が肺がんになる可能性が高いというデータもあります。
こういった文句は訪問業者が外装の補修工事や屋根リフォームなどの契約を取る手口のひとつですので、どうか乗らないようにしてください。
お客様にお伝えしたい2つのポイント
1.訪問業者のアスベスト詐欺に注意

飛び込みでお家へ訪問してアスベストについて嘘の知識を語り、お客様を不安にさせる業者がいます。
例えば、
「ご自宅にはアスベストを含んでいる建材が使われているから、すぐにリフォームした方がいいですよ」
「ご家族だけでなく、ご近所の方にも被害がでるかもしれませんよ」
などと言われたら要注意です。
建物の老朽化が進まない限り、建材の中のアスベストが飛散して身体に影響が出ることはほぼありません。
普通に暮らしている限り問題はないということを覚えておきましょう。
2.室内リフォームDIYの前に
「DIYで室内のリフォームにチャレンジしたい」という方も増えていますよね。
ですが、壁を壊すような大幅なリフォームをする場合は専門業者に相談してから行うようにしてください。
モルタルに石綿が混ぜられていると、壁を壊すときにアスベストが飛散してしまう恐れがあります。
壁に使われている材料の成分が明らかでない場合はむやみに触らないようにしましょう。
判断に迷ったら専門業者に相談してみることをおすすめします。

アスベストを含む建材が使われている可能性がある部位


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「著者情報」
関裕一
東京都足立区出身 1級外壁・屋根調査士・ドローンパイロット
サンセイホーム(株式会社三誠ホームサービス) 最高技術責任者
18歳から塗装職人として2.250件以上の施工に携わる。
塗装業界の歪んだ構造を塗り替えるべく、奇跡の「新時代塗装」倶楽部を主催している。
お家を長く保つアドバイスを、分かりやすくお伝えします。
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